グリア細胞に注目です

この本はおもしろい!

「もうひとつの脳」R・ダグラス・フィールド著(講談社・ブルーバックス)

出だしから、もう読ませます。

「私たちは現在、脳についての新たな理解の最先端に立っている。

そしてこの新たな理解は、過去一世紀にわたる従来の脳の概念、とりわけ脳内のニューロンの役割に関する考え方を一変させるものだ。

1990年、暗室のコンピューター画面の周囲に群がっていた科学者たちは、情報が奇妙な脳細胞を通過しているところを目撃した。

情報はニューロンを迂回して、電気的インパルスを使用せずにやり取りされていた。

この発見まで、脳内の情報はすべて、ニューロンを介して電気によって伝えられていると想定されていた」。

なんと、ニューロン・神経細胞以外の情報伝達回路があるということです。

それが、グリア・グリア細胞だというのです。

これはもう興味深々です。

ニューロンとグリア細胞

生理学の教科書をひもといてみます。

「神経組織は神経細胞(ニューロン)とその支持細胞から成り立っている」。

そう、電気信号が流れるニューロンとこのニューロンを包み込んでいる支持細胞からできているということです。

そして、情報の伝達は、もっぱらニューロン・軸索と介して行われていると考えられていました。

このグリア細胞は、

「電気活動を行うニューロンの間を埋める梱包材にすぎないと、これまで無過ごされてきたのだ」。

また、生理学の教科書には、

「グリア細胞はニューロンを支えるばかりでなく、

ニューロンと血液の間での栄養や代謝産物などの物質関与する」とあります。

この記述からも、グリア細胞は情報の伝達には関与していないことになっています。

ところが、このグリア細胞が

「神経回路を流れる電気活動を感知できるだけでなく、その活動を制御さえできることが判明し、脳に関する科学者の理解は根底から揺らいでいる」というのだ。

このグリア細胞は、

「電気的インパルスを発火しないので、神経科学者がニューロンの活動をモニターするために使用する微小電極では、グリアの情報伝達を検知できなかった。

グリアは、ニューロンと違い、シナプスを介して回路に接続されているわけではない。

グリアはメッセージを脳全体に向けて広く送信しているのだ」。

ニューロン(軸索)を介すことなく情報が伝達される回路が存在すること。

それが、ニューロン(軸索)を包んでいるグリア細胞だとうのです。

整体の臨床で感じていたこと

日々、整体のしごとに携わり感じていたことのひとつには、

どうやら、神経の回路がニューロン(軸索)だけではない、情報伝達の回路が存在しているに違いない、という実感です。

それをわたしは、なんとなく皮膚の表面を流れる情報伝達回路?

痛覚を受け止める「自由神経終末」を介する情報伝達回路?

そんな回路があるにちがいない、と感じておりました。

この本では、電気的インパルス以外の情報伝達回路の存在を指摘し、

それがグリア細胞だと特定しています。

興味深い研究です。

この本は、私でも読めることからわかるように、専門書ではなく、一般人にむけて書かれた本です。

数式などでてきませんし、読ませますね。

大変おもしろい本です。