オスグッド・成長痛
オスグッド・成長痛と整形外科で診断されて、治療に通ってもなかなか良くならないといって、当院にご来院いただくケースは良くあります。
おかげさまで、オスグッド・成長痛については、臨床経験を積みましたので、それなりの成果をあげることができるようになりました。
臨床を重ねていくにしたがって、どうやら、整形外科的・教科書的なオスグッド・成長痛の考え方は違うのではなかろうか、と日々実感する次第です。
整形外科、整骨院に通われた方にその対応を伺いますと、
①痛みが出ている膝関節の下、脛骨粗面への電気治療と湿布の処方。
②脛骨粗面に付着する筋肉である大腿四頭筋・大腿直筋へのストレッチとそのストレッチの指導。
この二点では共通しています。
けれどもこの治療では、オスグッド・成長痛の痛みを解消することは、できないわけです。
なぜなら、脛骨粗面にストレスをかけ牽引しているのは、確かに大腿四頭筋・大腿直筋なわけですが、
この大腿四頭筋・大腿直筋にストレッチをかけ、大腿四頭筋・大腿直筋を引っ張っているのは、実は下肢の筋肉群とハムストリングスだということです。
このことがわかると、オスグッド・成長痛の臨床は、比較的スムースに上手くいくものです。
下肢の筋肉群の触診
今回ご来院いただいたのは、はるばる盛岡から2時間離れた沿岸の町、釜石市からです。
隣町の整体まで4~5回、通ったけれども良くならないということです。
どのような整体を受けたのか尋ねますと、やはり、大腿四頭筋・大腿直筋のマッサージだということがわかりました。
オスグッド・成長痛の臨床の決め手はやはり触診です。
触れて、筋肉のコリを見つけれるか、それをコリとしてとらえることができるかどうかということです。
触診のポイントは立位では触れないということです。
立位では筋肉が作動してしまい、下肢全体が固くなってしまい、どの筋肉が固くなっているのかわかりずらくなるためです。
治療ベットに腰かけてもらい、足が床につかない状態にします。
この状態、筋肉が作動していない状態でも、まだ、固い筋肉を「それ」と判断します。
外くるぶしの上にコリを感じます
触診しますと、外くるぶしの上に筋肉の固さを感じます。
ここを私は、「長母指屈筋」だと考えております。
アキレス腱の外側と外くるぶしとの間です。
いつもの解剖学の本「骨格筋の形と触察法」には、こう記されています。
「長母指屈筋は、腓骨の後面に沿って走行する。
よって、後方から腓骨の位置を確認し、その遠位約三分の二の領域の深層の筋腹を触察する」。
また、このようにも書かれています。
「長母指屈筋の筋腹は踵骨の近位縁付近まで存在する」。
そう、この長母指屈筋は外くるぶしのすぐ上のあたりまで付着しているということです。
ですから、この筋肉もかなり広範囲に腓骨に付着している、強い筋肉だということがわかります。
この長母指屈筋を腓骨から剥がすように整体します。
これだけで、しゃがんでもらっても、膝に痛みは出なくなります。
もう少し触診していきます。
外側の腓腹筋にもコリを感じます
やはり下肢の外側、腓腹筋の外側の筋腹にもコリを感じます。
ここは、筋腹の「筋筋膜」が腱のように固くなっているように感じられます。
このような場合は、筋肉の付着部を剥がす整体ではなく、
素直に筋腹を整体します。
筋腹に触れながら、筋肉を動かします。
世間でいうところの、「ストレッチ」、筋肉を伸ばして、筋肉がやわらかくなったり、ほぐれたりするか?
と問われれば、「さあ、どうでしょう?ほぐれないんじゃないですか」と答えます。
ただ、筋肉を伸ばしてみても、筋肉はやわらかくはならない、と臨床が教えてくれています。
けれども、その筋肉、その筋腹のコリ、「筋筋膜」に触れながら、筋肉をストレッチすると、筋肉はやわらかくなっていきます。
なぜなのかは、生理学的・運動学的には、私はそのメカニズムはわかりません。
けれども、凝った、固くなった筋肉に触れながら、その筋肉を動かすと、筋肉はやわらかくなります。
「加圧トレーニング」というのは、このような原理を用いているのだと思われます。
そんなふうに、この外側の腓腹筋を触れながら足首を動かします。
受けてる方は、結構痛がります。
筋肉が凝っているのですから。
けれども、これで、うつ伏せになってもらい、膝関節を曲げても、踵がお尻につくようになり、痛みは生じません。
ここまでくれば、オスグッド・成長痛の痛みも大丈夫と判断できます。
あとは、いっしょにご来院いただいたお母様にそのポイントを教え、整体の仕方を指導します。
このことを続けていくことで、オスグッド・成長痛の痛みは発症することなく、サッカーを続けていけると思われます。