四十肩・五十肩で腕を後ろに回せない方は多いものです。
いわゆる「結帯動作(けったいどうさ)」といわれます。
そしてこの腕を後ろに回せない、結帯動作の解消は、残念なことに時間を要する課題となっております。
腕を後ろに回せない四十肩・五十肩の解消に向けて、また、新たなアプローチを試みましたので紹介させていただきます。
このアプローチで、ここまでしか回らなかった腕が、
ここまであがってきましたので、まずまず、成果・効果はあると判断してよいかと思われます。
四十肩・五十肩で腕を後ろに回せない
この動作を結帯動作というわけですが、
この動作を分析してみます。
まず腕を後ろに伸ばします。
肩関節の伸展と肘関節の伸展です。
そこから、手・腕を背中に持ってきます。
これが、わかりにくいのですが、肘関節が回内(うちねじり)してきます。
この回内がつまっても、腕は後ろに回せないわけです。
今回のアプローチは、この回内に焦点をあてたアプローチです。
これまでは、どうしても、腕・肩関節の内旋にばかり目がいっていたことへの反省です。
今回の整体のポイント
この方の四十肩・五十肩は
左肩が、前からも横からもぜんぜん上がらない状態でご来院いただきました。
いずれも、水平までもあがりませんでした。
腕を後ろに回す動作は、ごらんのとおりです。
整形外科を受診したところ、「骨には異常がないので五十肩だな」という診断を受け、電気治療をうけていたそうです。
一件では効果がなく、また別の整形外科を受診し、こちらも同じ診断と治療で効果がなく、当院にご来院いただきました。
2回目の整体で、肩はほぼ上まであがる状態まで改善させることができました。
前上げ(屈曲)は、ほぼ180度。横上げ(外転)は160度まではあがります。
残すは、この腕を後ろに回す動作・結帯動作の改善です。
準備もすすめてきました
今回の整体にあたっては、必ずこのアプローチだけはしようときめていた点があります。
肘関節の回内が問題となっているのですから、
それにかかわる筋肉、回内する筋肉と回外する筋肉にはかならずアプローチしようということです。
回内する筋肉とは、
円回内筋と方形回内筋です。
回外する筋肉とは、
回外筋です。
これらの筋肉を事前に解剖学の本で調べ、しっかり触れれるように予習しておりました。
そして、この筋肉にストレッチ操体を施していきます。
けれども、残念なことに、また、よくあることなのですが、これらの筋肉では、腕を後ろに回す動作の改善はみられませんでした。
どうやら、「可動域を制限する筋肉は、その動作を引き起こす筋肉やその反対の筋肉ではない」、というケースがよくあることです。
その作動する筋肉とは別の筋肉のコリ・ハリが邪魔をして、関節の可動域を制限するケースがよくあるわけです。
あきらめずにアプローチします
あきらめずに肘関節を中心に、前腕・上腕の筋肉を触れていきます。
また、腕を後ろに回す動作をしながら、どこの筋肉にテンションが生じるかを確認していき、
可動域を制限している筋肉をさがしていきます。
すると、どうやら、ここ、
であったり、ここ
にアプローチ、ストレッチ操法をこころみますと、腕を後ろに回す動作に改善がみえてきました。
また、上腕三頭筋も有効であることがわかりました。
さらにスタンダードなアプローチもくりひろげます
さらには、スタンダードなアプローチ。
前腕への「雑巾しぼり」操法であったり、
前腕・上腕・肩関節の「内旋・外旋」操法をくりひろげていくわけです。
その成果がこの写真です。
ここまでの、改善を「な~んだ、この程度か」と判断するか、「ずいぶん良くなったじゃないの」と評価していただけるかは、皆様にゆだねますが、
四十肩・五十肩のアプローチといいますと、肩鎖関節・胸鎖関節また、肩関節の亜脱臼また、肩関節をとりまく筋肉群のコリ・ハリなど、考慮に入れなければならない点は多数あります。
そのなかにあって、肘関節および前腕・上腕にも配慮するべきだ、ということ、
この点を視野にいれながらの臨床報告としてご理解いただければ、なによりです。
いずれにしても、四十肩・五十肩。腕が後ろに回せないという症例は、回復するまでに、時間を要するものだということを、患者さんに十分理解してもらったうえで、臨床にあたる必要があるとつくづく痛感しております。