椅子に座っていると腰が痛くなります

腰痛にもいろいろなタイプ、いろいろな原因の腰痛があります。

腰痛の原因を見極めるために、動きの検査や、触診、触れてのコリの確認をしていくわけです。

当院での代表的な検査、必ず行う検査は、立位から体を前に曲げたり(体幹の屈曲)と体を後ろに反らしたり(体幹の伸展)の動診です。

これだけの簡単な動作、検査だけでも問題点、原因の究明のためには大いなるヒントが隠されています。

この立位での動診に加えて、同じように思われるのですが、微妙にニュアンスの違う動診があります。

座位、治療ベッドに腰かけてもらったままで体幹の体を前に曲げたり(体幹の屈曲)、体を後ろに反らしたり(体幹の伸展)の動診です。

この動診をしてもらいますと、よりダイレクトに骨盤の前傾・後傾と腰痛との関連性が分かってきます。

そしてまた、腰痛は腰痛でも、立っていては腰は痛くないけれども、椅子に座っていると腰が痛くなる腰痛の方にはその原因を見極めるのに有効な動診となります。

痛みは腰方形筋にでます

この座っていて痛みがでる腰痛は、腰方形筋の走行上にでます。

この腰方形筋は骨盤と肋骨を結ぶ筋肉です。

ちょうど骨盤と肋骨の間の、骨のない部分を膜のように覆っています。

いわゆる「ぎっくり腰」も、この腰方形筋の走行上に痛みがでるものです。

座っていると、この腰方形筋に痛みがでるメカニズムについて考察していきます。

注目すべき点は、この腰方形筋が、いま述べたように、骨盤と肋骨とを結んでいるという点です。

解剖学的に記すと、

起始は、腸骨稜の後面・内側縁であり、

停止は、第一~第四腰椎の横突起と12肋骨です。

ですから、起始部にテンションがかかると、骨盤の上のヘリ周辺に痛みが誘発され、

停止部にテンションがかかると、肋骨から背骨の真ん中にかけて痛みが誘発される、

と、考えることができそうです。

この起始部と停止部のテンションと骨盤の前傾・後傾、体幹の前傾・後傾との関連性について考えてみます。

骨盤が後傾、後ろに傾くと、体幹は丸くなり、腰椎は屈曲し、前かがみとなり、その動きに導かれて腰方形筋の停止部・肋骨から背骨の真ん中にかけてにテンションがかかると考えられます。

骨盤が同じように後傾しても、もうひとつのパターンが考えられます。

体幹が丸くなる、腰椎が屈曲することにともない、骨盤が後傾してしまうパターンです。

いわゆる猫背になってしまい、それにともない、骨盤が後傾してしまうパターンです。

このような骨盤の後傾のパターンでは、体幹が前屈してしまうために、腰方形筋の起始部・腸骨稜の後面・内側縁の周辺に痛みが誘発されると考えることができます。

同じ骨盤の後傾でも痛み出現する部位は、

腰方形筋の起始部と停止部に出る場合があるということです。

骨盤を後傾させる原因は、

ひとつには、下肢・足の筋肉群の筋緊張であり、

もう一つは、上肢・腕の筋肉群の筋緊張が考えられる、ということです。

下肢・足の筋肉群の筋緊張が骨盤を後傾させ、腰方形筋の停止部である、肋骨から背骨の真ん中にかけて痛みが誘発されます。

上肢・腕の筋肉群の筋緊張が骨盤を後傾させると、腰方形筋の起始部である、骨盤の上のヘリ周辺に痛みが誘発されます。

このようなメカニズムを想定することができます。

ですから、腰痛の痛みが出現する部位によって、その腰痛の原因が特定できることになります。

腰の上部の痛みであれば、下肢に原因があると推測でき、

腰の下部・骨盤のヘリ周辺の痛みであれば、上肢に原因がある、と推測できそうです。

座っていると腰の上部が痛みます

このような仮説を想定することができました。

さて、臨床です。

当院のお馴染みさんで、現在、医科大学に通っている方がいらっしゃいます。

期末試験を前にして、その勉強が半端じゃなく「きつい」んだそうです。

そこの医科大学は期末試験を落としてしまいますと、平気で、当然のように「落第」させてしまうのだそうです。

こうなれば、もう本当に必死で勉強することになります。

医科大学への受験勉強も大変でしたが、学部での勉強もさらに輪をかけて大変なようです。

そして、必至に期末試験対応の勉強をしていたら、腰が痛くなったという次第です。

座っていると、腰の「上部」に痛みがでます。

先に記したように、腰の「上部」ですから、その原因となる部位は特定できるわけですが、

なんとなく、机に向かっている姿が強くイメージされたものですから、

その仮説に反して、「手」・「上肢」から整体していきます。

やはり、その腰痛はすっきりと解消されてきません。

やはり、下肢に原因がありそうです。

ふくらはぎ~ハムストリングスと攻めていきますが、まだ本丸には到達できません。

もっと体幹に近く、臀部を攻めます。

ああ、ここです。

大殿筋です!

試験勉強で座りすぎて、大殿筋の血流が悪くなり、筋肉がこりになったようです。

この大殿筋のこりが、筋肉の収縮をひきおこし、骨盤を後傾させ、腰方形筋の停止部、上部腰椎周辺に痛みを誘発していると、考えることができます。

大殿筋とその停止部である大腿骨の殿筋粗面周辺を整体することで、腰の痛みは大分緩和されました。

と、いうことは、試験勉強の合間に、座りながらでもいいから、この殿筋粗面から臀部にかけて自分でもみほぐしをかけてあげればよいといいうことです。

これほどまでに座り続け、勉強し続けるのですから、本当に頭の下がるおもいです。

私も、この臨床では、大変お勉強させていただきました。