首の動きを肩甲骨との関係

ご来院いただいたすべての患者さんに対して、動診、動きの検査をします。

体幹の動診、肩関節の動診、そして首の動診は欠かさず行い、整体が完了するたびに、その変化、回復度を確認します。

首の動診は前後の動き(屈曲・伸展)とねじり(回旋)、そして、左右の側屈の動きがあります。

このレポートでは、首の左右の側屈の動きと肩甲骨との関係について説明します。

首の動診で左右に首を倒すと、反対側の首筋にハリを訴えたり、

首のうごきに可動域制限が出現する方は多いものです。

この首の左右の側屈の動きは、肩甲骨のポジションの影響を大いに受けます。

肩甲骨の動き

「身体運動の機能解剖」には、

肩甲帯(肩甲骨)の動きとして6つの動きを紹介しています。

これが、そのページの写真です。

肩甲帯は

外転ー内転

挙上ー下制

上方回旋ー下方回旋

この6つの動きがあります。

このうち、首の側屈と大いにかかわりのあるのが肩甲帯の外転と内転です。

肩甲骨の外転と内転

肩甲骨の外転とは、こういう動きです。

そして、これが肩甲骨の内転の動きです。

肩甲骨が外転した姿というのは、

臨床の際よく口にする、

「肩が中にはいってますね」

「肩が丸くなってますね」

という言い方で言い表されている姿勢です。

肩が中に入っているというのは、肩甲骨が肋骨にそって、外に伸びてしまっているということです。

肩が丸くなっているということと肩甲骨が外転しているというのは、少々わかりにくい表現です。

そして肩甲骨が外転している方は、ほぼ間違いなく、首の側屈の動作でハリや可動域制限を訴えます。

首の側屈の可動域制限のメカニズム

それでは、なぜ、肩甲骨が外転すると、首の側屈で可動域制限がおきるのでしょうか?

例えば、首と肩甲骨とを結ぶ筋肉として、僧帽筋と肩甲挙筋を考えてみましょう。

すると、肩甲骨が外転すると、この僧帽筋と肩甲挙筋は引っ張られ、ストレッチ状態になります。

筋肉の限界までひきのばされてしまうと、あたりまえですが、もう、筋肉は動くことができなくなります。

ですから、肩甲骨が外転してしまうと、僧帽筋も肩甲挙筋も伸びきってしまい動くことができなくなります。

そこで、さらに首を反対側に倒しますと、さらに引っ張られることになりますから、テンションがかかり、痛みが生じたり、可動域制限が起きることになります。

これが、首の側屈の可動域制限のメカニズムだと私は考えます。

首の側屈の可動域制限のリリース

それでは、この首の側屈の可動域制限を解消するためになすべき整体はどうなるでしょうか。

そう、それは、肩甲骨を外転させている筋肉群を整体・リリースすればよいということです。

「身体運動の機能解剖」には、この肩甲骨を外転させる筋肉として、

前鋸筋

小胸筋

この二つの筋肉をあげています。

ですから、前鋸筋をリリースするために、肋骨を整体したり、

小胸筋をリリースするために、鎖骨下、烏口突起を整体することは有効になります。

また、これまでの臨床から、この二つの筋肉のほかにも、

三角筋

上腕二頭筋

烏口腕筋

も肩甲骨を外転させる要因になると確信しております。

またさらに、筋肉の連結をたどって、外腹斜筋・内腹斜筋も影響をあたえます。

このことを念頭に置きながら、動診で、肩甲骨を思いっきり内転位にしたままで、首の側屈の動診をしてみますと、動かなかった首が、可動域制限がかかっていた首が動き始めることに気づくことでしょう。

この肩甲骨を内転位にした動診を患者さんに実感していただくと、驚いていただけるものです。