三角筋とお尻の筋肉との関係
肩こりと三角筋との関係については、興味深い臨床にいくつも遭遇してきました。
「肩こりと首の回旋」
肩の筋肉である三角筋について、ことあるごとに、すべての臨床において、検証を進めてきております。
すると、やはり、また、興味深いことに気づきました。
当たり前のことですが、三角筋が原因である筋肉のコリ・拘縮であれば、素直に三角筋を整体すれば、それなりの成果は出ます。
けれども、その三角筋のコリ・拘縮が三角筋が原因ではなく、ほかのところのコリ・拘縮が原因で三角筋がコリ・拘縮を起こす場合もあるわけです。
こうなると、いくら、三角筋を整体しても、三角筋はほぐれることなく、そのコリ・拘縮はそのまま残ります。
これも、これからの臨床で検証していくことになるわけですが、
今回、遭遇したのは、三角筋とお尻の筋肉との関係です。
人間の骨格は、もともと、四つん這いの骨格であり、そのまま直立してしまったのが人間であるといわれています。
四つん這いになってみます。
前肢と後肢となります。
前肢はもちろん両方の腕です。
後肢は両方の足です。
前肢と体幹のジョイント部分に位置しているのが、三角筋です。
そして、後肢と体幹のジョイント部分に位置しているのが、お尻の筋肉群です。
さらに、その位置関係をよく観察してみますと、
三角筋の前部繊維ー小殿筋。
三角筋の中部線維ー中殿筋。
三角筋の後部繊維ー大殿筋。
このような関係があると思われます。
さらに、肩関節と股関節の関係は、同じ側で関係するのではなく、
対角線上で関係するということです。
つまり、右の肩関節は左の股関節と。
左の肩関節は、右の股関節と。
ならば、右の三角筋にコリ・拘縮が認められた場合、左の殿筋群の整体を視野に入れなくてはならない、ということです。
殿筋群を整体することで、臀部ー背中ー肩回りも楽になり、三角筋もほぐれ、
首の動きも改善されるという事例も目に付くようになりました。
まだまだ、三角筋の探究も進めていきたいと考えております。
首の側屈の動きとお尻の筋肉
肩こりとお尻の筋肉の関係について、もう少し、具体的に書きますと、
首の動き、それも特に首の側屈の動きとお尻の筋肉とは密接な関係があるということです。
首の側屈で可動域制限がかかります。
例えば、首を右に側屈すると、左の首筋がピ~ンと張って可動域制限をかけます。
この症状は、肩甲骨が「外転」しているために、首筋も外転位にひっぱられ、可動域制限がかかるといえます。
この肩甲骨を「外転」する筋肉は、解剖学的には、
①前鋸筋
②小胸筋
です。
この症状が出現している際には、この二つの筋肉を整体するのは、必須のアプローチと言えます。
それからさらに、解剖学的にではなく、臨床経験上、わかってきたのは、三角筋も関与しているということです。
三角筋は、
前部:鎖骨の外側
中部:肩峰
後部:肩甲棘
からはじまり、三筋は合して、上腕の三角筋粗面に付着します。
と、いうことは、上腕を固定すると、三角筋にコリ・拘縮があると、肩甲骨と鎖骨は外側に「外転」、引っ張られることになる、と考えます。
そして、この三角筋のコリ・拘縮は上腕ばかりではなく、お尻の筋肉の影響も受けるということです。
そう、それも、反対側のお尻の筋肉の!
きょうも、また、首の側屈で可動域制限が出現する方にご来院いただきました。
この仮説を立証するべく、肩回り、首回りを整体する前に、お尻の筋肉を整体します。
すると、やはり、首の側屈の可動域は改善されます。
さらに、首の回旋についてもその可動域は改善されることがわかりました。
このように、肩甲帯と骨盤・股関節の関係を念頭に置きながら整体することで、肩こりの改善率は飛躍的に高くなります。