骨盤が後傾すると、前かがみも、後ろ反らしもできなくなる

前回のレポート

「腰痛 前にかがめない腰痛と後ろに反らせない腰痛」

で示したように、骨盤が後傾すると、前かがみすることも、後ろに反らすこともできにくくなることを報告しました。

そして、前かがみで痛みが出る腰痛も、後ろに反らすと痛みが出る腰痛もその骨盤の矯正方向は、骨盤を前傾にする方向だ、ということも理解できました。

けれども、ここで、新たな疑問がでてきます。

同じ骨盤の後傾という現象を示していながら、なぜ、前かがみで腰痛がでたり、後ろ反らしで腰痛がでたりするのか、ということです。

いずれも骨盤の後傾がが原因であるのなら、現れ出る現象はひとつのはずです。

おなじ姿勢の特徴を示していながら、ふたつの別の症状をひきおこしています。

このことを理解するためには、骨盤のポジションだけではなく、筋肉の働きについて考えてみる必要があります。

骨盤を後傾させる筋肉群

このことについて、参考になるのが、またまたカパンデイです。

カパンデイ「関節の生理学Ⅲ」のP100です。

ハムストリングスや大殿筋が収縮すると骨盤を後傾させる」とあります。

また、

「この過程(骨盤の後傾・腰椎湾曲の平坦化)に決定的な役割を果たす筋群は腹筋群であり、

とくに腰椎湾曲の両端を結ぶ腹直筋が、テコのような作用をする」。

「したがって、腹直筋と大殿筋の収縮があれば、腰椎湾曲を平坦化するのに十分である」。

この記述は、腰椎の平坦化についてなのですが、腰椎を平坦化をひきおこす原因が骨盤の後傾であり、その骨盤の後傾をひきおこす原因となっている筋肉が腹直筋と大殿筋だと指摘しているわけです。

腰椎の湾曲の平坦化と骨盤の後傾とはワン・セットなわけです。

この指摘に、前にかがめない腰痛と後ろに反らせない腰痛のメカニズムを解き明かす鍵があると、私は考えるわけです。

骨盤を後傾させる筋肉群の作用

カパンデイが指摘したように骨盤を後傾させる筋肉群は、腹直筋と大殿筋なわけです。

もうすこし、幅をもたせましょう。

腹直筋ばかりか、内腹斜筋・外腹斜筋をも含む腹筋群として。

大殿筋だけではなく、ハムストリングスまでも含めましょう。

腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋の作用は、体幹の前屈です。

つまり、机に向かっている姿勢だということです。

この腹筋群の収縮により骨盤は後傾します。

そして、体幹の前屈のクセ・可塑性(もとにもどれないこと)がおきてしまうことから、体を後ろに反らすことができなくなる、と考えます。

このことが、体を後ろに反らすと痛みが出る腰痛のメカニズムです。

では、ハムストリングスと大殿筋が収縮すると、骨盤は後傾し、体の後面、お尻から、太ももにかけての筋肉が収縮して引っ張るのですから、体を前かがみにすることができなくなります。

このことが、体を前かがみにすると痛みがでる腰痛のメカニズムです。

このように私は考えます。

>骨盤を後傾させる筋肉群の連結を考える

このように考えると、

前かがみで痛みの出る腰痛の原因は、臀筋からハムストリングス。

後ろ反らしで痛みの出る腰痛の原因は、腹筋群。

このように図式化することができます。

けれども、筋肉は連結し末端までつながっています。

そこまで視野に入れると、

腹筋群ー大胸筋ー三角筋ー棘下筋・上腕筋・上腕三頭筋ーと続き手までつながります。

また、

大殿筋ーハムストリングスー腓腹筋ーと続き足までつながります。

ですから、極論するとこうなります。

体を前かがみして痛みの出る腰痛の場合、まず整体するべきなのは、「手・前腕」であり、

体を後ろに反らして痛みの出る腰痛の場合、まず整体するべきなのは、「足・下肢(ふくらはぎ)」だ。

ということです。

ですから、手・足を使い全身を連動させるような整体方法を組み立てながら整体することが有効になると、私は考えております。