朝一番で飛び込みの患者さんです。

「どうしたんですか?」と尋ねますと、

「左手が肘から手のほうまでしびれてきて」ということです。

「了解しました、それでは、問診票を記入したら中にいらしてください」といいます。

施術室であらためて、問診票を拝見しますと、3週間前に交通事故にあわれていることが記されています。

止まっているところに後ろから追突されたそうです。

それから手にしびれ感がではじめたということです。

ところが、相手の保険会社に

「もう治療は打ち切りにして、あとは、自分のお金で治療してください」といわれたそうです。

それで、手にしびれ感があるので、うちにご来院いただきました。

これは明らかに変です。保険会社の対応が適切でありません。

そのことを伝えます。

まず第一に、治療の打ち切りの判断は、保険会社がするものではなく、医師が判断するものだということ。

症状が定まってしまった、これ以上良くなることはない、治療の打ち切りの判断は医師がすることです。

そのことをお伝えします。

「病院にはいったのですか?」と尋ねますと、

「脳神経外科を受診しました」ということです。

その時にもすでに手に軽いしびれ感があったそうですが、

問診と触診のあと、リハビリの方にまわされ、マッサージや電気治療を受けたそうです。

どうしたわけか、その脳神経外科では「交通事故」扱いにしなかったようです。

そこで、そのことを伝えます。

「もう一度、その脳神経外科にいって、手のしびれ感があるので、交通事故扱いにしてもらい、治療を受けたいことを伝えて下さい」

「そうすることで、治療代は自賠責保険からだされること」

「また、慰謝料の請求もできるようになること」

きっと、相手の保険会社はこの方が交通事故扱いにしていないことをいいことに、さっさと、治療の打ち切りを切り出したにちがいありません。

なんとも、ひどいことです。

午後からは仕事だということなので、

「早く、その脳神経外科にいきなさい!」と尻をたたいていかせました。

自賠責保険を受けるためには、

診断書等々、必要な書類を警察に提出する必要があります。

その段階ではじめて、人身事故扱いとなり、自賠責保険がつかえるようになります。

症状が軽そうにみえたために、そういうことを、その脳神経外科では省いてしまったのでしょうか?

または、こちらが、交通事故であることを「しっかり」伝えなければ、そこまで、面倒をみてはくれないのかもしれません。

いずれにしろ、この症状は交通事故の後遺症であること、自賠責の対象であることをお伝えしました。

ご相談にのってあげただけで、施術はしませんでした。

それで、いいのだ。お役に立ててなによりでした。