肩関節の伸展と胸鎖乳突筋との関係について
お馴染みの私のピアノの先生です。
演奏会を控え、ピアノの練習に励んでいます。
すると、背中から首にかけて苦しくなってきます。
肩関節の伸展で可動域制限が現れます
前回いらしていただいた際にも、気づいていたのですが、肩関節の伸展、
上腕・腕を後ろにもっていく動作がきついわけです。
すると、もちろん、結帯動作も可動域制限が出ます。
上腕・腕が後ろにいかないわけですから、ましてや、背中まで腕がまわるはずがありません。
上腕二頭筋を整体します
肩関節の伸展、後ろに伸ばす動作で可動域制限がでるのですから、
素直に考えると、肩関節を屈曲・曲げる動作の筋肉、上腕二頭筋のコリ・拘縮が原因で後ろに伸ばせないと考えることができます。
前腕の停止部、橈骨の橈骨粗面を整体します。
けれども、あまり、コリを感じません。
けれども、やはり、セオリーどおり整体して、変化を観察します。
やはり、肩関節の伸展の動作はあまり改善されません。
体幹の前面・側面を整体します
されば、とて、体幹の前面および側面を整体します。
大胸筋と前鋸筋です。
これらの筋肉を肋骨から剥がすように整体します。
けれども、少々、肩関節の伸展の動作に改善はみられたものの、まだまだです。
胸鎖乳突筋を整体します
ピアノの先生、しきりと、首がきついと訴えます。
基本的に当院のアプローチとして、本人が訴える、痛いところ、苦しいところは問題がないケースが多いことから、本人が訴えるところを整体することはほとんどありません。
けれども、肩関節の伸展の動作の改善に向けた基本的な整体を試みても成果をあげることができないのですから、これはダメ元で本人の言う通り、首を整体します。
そう、胸鎖乳突筋です。
胸鎖乳突筋は、胸骨と鎖骨からはじまり、側頭骨の乳様突起に停止します。
筋肉のコリの多くは、その、付着部、起始部・停止部に生じることが多いものです。
特に、停止部が!
けれども、この胸鎖乳突筋、変わった筋肉で、起始部・停止部を整体しても、あまり変化はみられません。
筋腹を整体します。
すると、肩関節が動きはじめました。
胸鎖乳突筋と肩関節はなんの関係もないのにです。
なるほどです。
鎖骨と胸骨が肩関節の動きを阻害する
こういうことでしょう。
胸鎖乳突筋がコリ、固くなってしまうことで、
その起始部である、胸骨と鎖骨の動きも固くなってしまうのでしょう。
特に鎖骨が。
肩関節の屈曲・伸展の動作には、鎖骨のローリングする動作が欠かせません。
胸鎖乳突筋が拘縮することで、鎖骨のこのローリング運動を阻害してしまうのでしょう。
そのことから、肩関節が自由に動くことが出来なくなった、と推測します。
なるほど、首のコリが原因となって、肩関節の可動域制限を引き起こしてしまいます。
この結帯動作、やはり、なかなか一筋縄ではいきません。
上肢全体が整ってこないことには、結帯動作の100%の可動域は達成できないということです。