「座り病」

「座り病」と私が勝手に名付けた症例があります。

パソコン作業や事務仕事が続きすぎて、肩こりや腰痛になったり、さらには、ぎっくり腰や坐骨神経痛を発症してしまう症例のことです。

座ってばかりいることで、骨盤や腰椎がその座ったままの姿勢で「可塑性(かそせい・元に戻ることが出来なくなること)」が引き起こされることから発症すると私は考えています。

座ったままの姿勢がその人にとっての、「機能姿勢」、働きやすい姿勢となるため、

体は、働きやすい姿勢を維持するために、骨盤も腰椎も座ったままに可塑性が引き起こされます。

この姿勢から、立位をとろうとすると、体は反発して壊れてしまいます。

これが、座り病が原因の「ぎっくり腰」です。

座り病の特徴は、骨盤の後傾です。

骨盤が後傾しますと、腰椎はまっすぐになってしまいます。

ストレート・ネックならぬ、ストレート・腰椎のできあがりです。

このメカニズムをカパンデイを参照しながら見てみます。

「関節の生理学(3)」P100.

「腰椎の平坦化は骨盤レベルから始まる。

ハムストリングスや大殿筋が収縮すると骨盤を後傾させる」。

さらに、

「腰椎の平坦化に決定的な役割を果たす筋群は腹筋群であり、

とくに腹直筋がテコのような作用をする。

したがって腹直筋と大殿筋の収縮があれば、腰椎を平坦化するのに十分である」。

パソコンに向かっている姿勢をイメージしてみると、

前かがみになり、猫背になって作業しています。

その時作動している筋肉は、まさに、腹筋群であることは容易にわかります。

この座り病、体幹の前面の筋肉群からのアプローチも欠かせないということです。

骨盤矯正もありでしょうが、まずは、筋肉の拘縮をやわらげてから、というのがその手順であろうと考えます。