腰から足まで激痛に見舞われて

30代女性のSさんです。

椎間板ヘルニアと宣告されてご来院です。

介護の仕事に5年ほど前から携わっているということです。

「4月の末に腰から足まで激痛に見舞われて動けなくなりまして、、、」

「それから整形外科にかよい、椎間板ヘルニアと診断されました。

椎間板ヘルニアの痛みがひかないので神経ブロック注射をうけました。

けれども、打ったその時は椎間板ヘルニアの痛みは緩和するのですが、

全然椎間板ヘルニアがよくならなくて、、、」

「それで、そこの整形外科ではよくならなかったので、整形外科をかえてみました。

そこでもやはり椎間板ヘルニアと診断されて、また、神経ブロックをうけました」。

「実は5年前にも同じような症状に見舞われその時も椎間板ヘルニアと診断され、

県立病院で椎間板ヘルニアの手術をうけています」

「そのことを2件目の整形外科に伝えましたら、椎間板ヘルニアは切ってあるはずだから、

ということで、ブロック注射だけでは痛みがきえないので神経根ブロックをやることになりました」

「痛かったでしょう」と私。

「なんか、スンゴク痛いらしいですよね」

神経根ブロックを打っても痛みはなくならない

「それでも全然よくならなくて、もう三か月にもなるのでこちらにきてみました」とSさん。

私の椎間板ヘルニアについての見解を伝えます。

「椎間板ヘルニアということで、これだけ神経ブロックの治療をしても痛みが消えないということは、この痛みは椎間板ヘルニア、神経の問題ではないということです」。

「整形外科の先生は椎間板ヘルニアによる痛みを消すために神経にむけて確かに痛みどめの薬を注射したはずです。

まして、神経根にもブロック注射をしているわけです。

ですから、腰椎の神経の部分は椎間板ヘルニアの痛みを感じないようになっているはずです。

けれども、椎間板ヘルニアの痛みがでるのです。

ですから、椎間板ヘルニアが原因でこの痛みが出ているとは考えられないと思うんです」。

「この椎間板ヘルニアが原因とされた痛みは骨盤のズレや股関節のズレ。

または、下肢の筋肉のコリからくるものだと私は考えています」。

その激痛は大殿筋の収縮です

「三か月前の身動きもできない激痛というのは、お尻の筋肉、大殿筋の収縮、いわば「こむらがえり」が大殿筋におきたからです。

骨盤がズレます。

すると、危険を察知して、お尻の筋肉はこれ以上ズレないように頑張るわけです。

これが極限まですすんでしまうと、もう駄目だとばかりに、思いっきり収縮します。

大殿筋の「こむらがえり」です。

これが、激痛をひきおこします。

収縮することで、骨盤のズレ(離開)を守ってくれるわけです。

この大殿筋の収縮により、筋肉は連鎖していますから、太ももの後ろ、ふくらはぎ、さらには足にまで痛みがはしり、動かなくなります。

これが私の考える椎間板ヘルニアによる激痛の原因です。

なんといってもこの大殿筋は人体で一番大きい、一番力の強い筋肉ですからね。

この筋肉に「こむらがえり」がおきたら、もう大変なことになるわけです。

ふくらはぎの「こむらがえり」どころのさわぎじゃありません。

と、いうのも、この激痛に私もみまわれているからわかるんです。

椎間板ヘルニアが原因ではありません。

これ、大殿筋の「こむらがえり」です。

本当に痛くて、動けないんですよね。

経験した人じゃなくちゃわかりません。

こんなふうに椎間板ヘルニアを説明できるようになったのは最近なんですけどね。

この椎間板ヘルニアは治りますよ

けれども大丈夫、この椎間板ヘルニアは治りますよ。

お医者さんに椎間板ヘルニアと宣告されると、

この椎間板ヘルニアの痛みと一生付き合わなくちゃいけないのかと落ち込んじゃうんですけど、

大丈夫です。

だって、ホラ、椎間板ヘルニアと宣告された私がいまこんなふうにしてますでしょう?

だから椎間板ヘルニアなんて大丈夫です」。

「そういってもらえただけで、なんかホットしました」とSさん。

問診では、左臀部と左下肢の外側、腓骨にそったラインに痛みがあるといいます。

「とくに、足(下肢)がひどくて、いつも痛い状態です」とSさん。

それでは立位での動診です。

前後屈。

まったくだめ。

左右のねじり。

まったくだめ。

「これじゃ、車を運転するのも振り返ることができないので大変でしょう?」

「これでもずいぶん良くなったんですよ」とSさん。

左右の側屈。

左側屈はだめですけれども、右側屈は唯一、動けます。

それではいってみます。

三軸操体法から始めます

右側屈を一軸にした立位からの三軸です。

右側屈ー左ねじりー前屈です。

二度やります。

動診です。

左右のねじりができるようになりました。

「え~、なんで」とSさん。

「こんなことをやっていきますね~」と私。

この立位での三軸はギックリ腰や坐骨神経痛の症状の方には一番最初の手技としてやるケースが多いです。

これだけで一割でも二割でも症状が改善されれば、次からの手技が楽になります。

次は「手抜きi-position]です

次は「手抜きi-position]です。

左臀部に「圧」をかけたいので、有無を言わさず、体幹を右にねじってもらいながらの「手抜きi-position」です。

Sさんの左足を左手で受け、右手母指でSさんの臀部に「圧」をかけます。

動診です。

左右のねじりはもちろんのこと前後屈もできるようになつてきました。

「もう後ろ反らしも大丈夫です」とSさん。

「あ、足の痛みもなくなっている!

大殿筋の筋緊張が解消されると、筋肉の連鎖のとおり、下肢の痛みも消失していきます。

あとは、仰向けになってもらい骨盤三軸、仙腸関節の調整で仕上げます。

立位での動診でも、前屈も床に手がつくまでとはいきませんが、十分前屈も可能になっています。

「ここまでできれば、日常生活には支障がないと思いますよ」

ということで、今日の治療はおしまいにすることにしました。

大丈夫。

椎間板ヘルニアが原因ではありません。

どこかの筋肉が悪さをしているだけですよ!