膝関節の外旋・足が外に開いている

膝関節の外旋について

膝関節の外旋についてのレポートです。

膝関節の外旋といわれても、ちょっと、わかりにくい動きです。

なぜなら、解剖学的・運動学的に膝関節の外旋というと、膝関節を外にねじる動作なわけですが、

これが、実際には、足首・足関節が外にねじれる動きとしてしか見えないからです。

「身体運動の機能解剖」のP158を写させてもらいました。

右足のこういう動き、外に膝・足首をねじっている動きです。

この膝関節の外旋の姿が、臨床ではどのようにして現れるかというと、こうなります。

うつ伏せになってもらうと、このように、足首・足関節が内側に入らずに、外に向いてしまいます。

この現象について考えていきます。

膝関節が外旋する原因

この膝関節が外旋している写真をとらせていただいた方は、膝が痛くてご来院いただきました。

もう大人の方なのですが、「オスグッドだと思います」といいます。

オスグッドといえば、成長痛ということで、小学生から中学生まで、成長期の少年に出現する現象です。

けれども確かに、オスグッドの痛みが出現する「脛骨粗面」に負荷がかかりすぎると、たとえ大人であっても脛骨粗面に痛みが出現しても不思議はありません。

この方、まだまだ現役でサッカーをしています。

それにともない、毎日のランニング、5キロ~10キロは欠かせないということです。

それで、膝の下、脛骨粗面に痛みが出て、しゃがんだり、走ったりすると、痛みが出るということです。

これはもう明らかに、走りすぎ、鍛え過ぎです。

下肢の筋肉が固くなりすぎてしまい、脛骨粗面に負担がかかり、痛みが出現しているにちがいありません。

この方の膝関節が、写真のように、外旋位に変位していたわけです。

けれどもこの膝関節の外旋の変位というのは、ちょっと見ただけではわかりずらいものです。

立位・座位・仰向けーの姿位では、出現しません。

いえいえ、私には見抜くことはできません。

けれども、このようにうつ伏せになってもらいますと、明らかに、苦しそうに膝関節が外旋位に変位していることがわかります。

ちょっと見には、膝関節の外旋ではなく、足首・足関節が外にねじれているようにしか映りません。

この写真は、仰向けの姿位で、膝の痛み・脛骨粗面の痛みを解消するために、ふくらはぎを整体した後でのものです。

ですから、不十分ではあったかもしれませんが、この膝関節の外旋を引き起こしているのは、「ふくらはぎ」の筋肉群ではないと、判断できると思われます。

実は、この方がご来院する前日に、同じように膝関節が外旋位に変位した、剣道少年を整体しました。

その整体のおかげで、この膝関節の外旋位を解消するポイントが分かっておりました。

なんと、その原因の筋肉は「大腿四頭筋」だったわけです。

このこと、膝関節を外旋位に変位させる原因となっている筋肉は大腿四頭筋であることを検証するために、あおむけになってもらい大腿四頭筋を整体します。

すると、やはり、

このように、正常に戻ります。

やはり、膝関節を外旋させる原因となる筋肉は大腿四頭筋であることがわかります。

大腿四頭筋の作用

大腿四頭筋は太ももの前面を占める大きな筋肉です。

その働きは、

股関節の屈曲
膝関節の伸展

このふたつです。

膝関節の外旋には、かかわっていません。

整体したのは、大腿直筋と外側広筋との筋・筋膜の境目の癒着を「剥がす」ことを目的とした整体です。

ですから、大腿直筋を整体したとも、外側広筋を整体したとも言えます。

けれどもどちらの筋肉とも、膝関節の屈曲にはかかわっても、外旋には関与しません。

この辺が人間の体のまだまだ学問的に理解できない興味深い点です。

筋肉の働きでは、屈曲するだけなのですが、

この二つの筋肉は太ももの外側に位置しています。

そのことが、この筋肉が拘縮することにより、外に、外旋位に引っ張っていくのだと考えてみます。

事実として、この大腿四頭筋を整体すると、膝関節の外旋位の変位は解消され、正常位に戻ります。

ですから、このうつ伏せで、膝関節が外旋位に変位している場合、まず疑うべきは、大腿四頭筋の筋肉のコリ・拘縮だ、といえそうです。