(1)整体・操体法概論

操体法の基本的な使い方

例えば、膝倒しの動診をしてみます。

膝を左に倒すと、右の臀部から腰にかけて違和感・突っ張り感・痛みが出ることは多いものです。

「快高圧」的に説明すると、
その部位の「圧」が低くなっているからだ、と説明できそうです。

また、解剖学的に説明すると、
膝倒しは、内旋・内転の複合動作と考えられますので、
その逆の筋肉
外旋の筋肉である梨状筋等の外旋筋の拘縮
また、外転の筋肉である中殿筋・小殿筋の拘縮
により、膝倒しができにくいのだな、という説明もできると思います。

それでは、この違和感を解消するためにはどうしたら良いのでしょうか?

「快高圧」的に説明すると
「圧」が低くなっている部位の「圧」を高めてあげれば良いということになります。

具体的には、その部位の筋肉を動かしてもらい、
さらに、その部位に「抵抗」・「圧」・「圧痛」をかけることで、
「圧」を高めていくことができそうです。

このことを解剖学的な用語を使って書いてみます。

拘縮している、梨状筋・小殿筋・中殿筋を作動させ
その筋肉に対して「抵抗」・「圧」・「圧痛」をかければ良いということです。
そうすると、筋肉の拘縮が緩和されるようです。

このことは、
世間で良くいう
筋肉のコリのほぐしかたのひとつの方法ともいえます。

凝った筋肉を動かしてもらい、
その筋肉に「抵抗」・「圧」・「圧痛」をかければ良いということです。

まあ、これで、すべてがうまくいけば良いのですが、
うまくいかないことがたびたびあるから、治療というのはおもしろいわけです。

例えば、膝倒しをわるくしているのが、梨状筋、外旋する筋肉だとしても、
梨状筋がその原因ではないケースがありますよ、ということです。

ですから梨状筋を動かしてもらって、外旋してもらって、抵抗をかけても効かないケースもありますということです。

このことをコ~ン先生はその著書「楽しくわかる操体法」の中でこう書いています。

「その動きにかかわらない他の2つの交叉軸が、、、」と

つまりですね、内旋・外旋にかかわらない他の筋肉が原因ですよ、ということです。

膝倒しがわるいからといって、膝倒しの操法で治そうとするのではなく、
その内旋・外旋をわるくしているのは、

屈曲・伸展と左右の側屈の筋肉のせいですよ、
それらの筋肉の動きの合成により、
膝倒しの内旋・外旋がわるくなっているのですよ、ということです。

ですから、
膝倒しの操法でうまくいかなかったら、
三軸をつかってみたりしなくてはならなくなるわけです。

操体法の基本的な考え方

私の操体法の師匠である

今昭宏先生は、操体法の施術の基本テーマとして、

「快高圧」を重視しています。

「圧」がたかまると、そこにエネルギーが集まってくる。

すると、気力・体力もみなぎってきます。治る力も高まってきます。

逆に、「圧」が低くなると、広がり、拡散してしまい、歪みも生じやすくなります。

ですから、施術をしながら、患者の「圧」を高めていきます。

その一つの手段が「抵抗」です。

「抵抗」について

操体法のキモは「抵抗」、この一語につきます。

いかに「抵抗」をかけるか!

この習得がすべてといっても過言ではありません。

「抵抗」の歴史

操体法を創案した

橋本敬三先生は、

動きやすい方に動いてもらい、

そこにその動きを止めるように「抵抗」をかけ、

2~3秒間そのままたわめつづけ、瞬間脱力させる

という治療をおこなってきました。

「抵抗」と瞬間脱力により
歪んだ体が、もとにもどり、
整復されると考えたようです。

けれども、今昭宏先生は、
動きをとめ、「抵抗」をかけ、

動きの力を「快高圧」に変換することにより、

人間の体のエネルギーを高めてあげて、
そのことによって人間の体を
治癒する方向に導こうとしていると思われます。

動きやすい方向へ動いてもらう

操体法の原則の一つに

動きやすい方向に動いてもらい「抵抗」をかける、というものがあります。

これが、操体法を理解しがたいものにしている一つの論法です。

「痛い」方に動かすのではなく、

「痛くない方」に動きてもらいます。

例えば、

仰向けになってもらい、両膝を屈曲、立ててもらい

左右に両膝をたおします。

右が倒しずらかったと仮定します。

倒しずらい右が倒しやすくなればバランスがとれたということです。

ではやってみましょう

右がたおしずらいので、ギュウギュウ力づくで右に倒せば良くなるような感じがします。

ここで大事が点があります。

右が倒しづらくて、左が倒しやすいということは、

骨盤および体幹が左にねじれているということです。

左にねじれているから、左に膝が倒しやすいのです。

理解しにくいですが、ここが大事な点です。

そして、操体法では、倒しやすい方、

つまり、骨盤・体幹がゆがんでいる方向に動いてもらうわけです。

ただし、歪んでいる方に動いてもらいながら、「抵抗」をかけるのです。

「抵抗」をかけることで、

動きのベクトル・力のベクトルは反対方向

そう!矯正したい方向に向かうわけです。

これが基本の操体法のメカニズムです。
**自分の力で動く [#q0a3bdb7]
自分の力で動きやすい方に動く。

第三者がむりに力をかけて矯正するのではなく、

自分の力で、矯正していくわけです。

「抵抗」の種類について

「抵抗」は以下のように分類できます。

(1)体幹から遠位に伸ばして、それに対して抵抗をかける。

(2)体幹の方に引きつけて、それに対して抵抗をかける。

(3)体幹から遠位に伸ばしていって、力を抜く。

(4)体幹の方にひきつけて、力を抜く。

(1)と(2)は、動きに対して抵抗をかけます。

すると、抵抗をかけることで、その関節の圧がたかまり「快高圧」を生み出すことができます。

(3)と(4)は、抵抗を必要としません。ただ、気持ちのいい方に動きていき

ます。気持ちのいい方というのは、これまた、歪んでいる方向ということです。

歪んでいる方向に動いていき、それを止めた時、体をその逆の方向に動きます。

その戻る力によって矯正力を発生させます。

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