肩こりと肩関節の亜脱臼

肩こりと肩関節の亜脱臼の関連について

肩こりと肩関節の亜脱臼の関連について解決できた症例です。

当初は、軽い「ぎっくり腰」で来院いただいたのですが、

あまりにあっさりと決まってしまったので、肩こりをみます。

首の左右の横倒しで、肩こり、突っ張り感がでます。

また、左肩を前から上げていくと(屈曲)、最後、耳までくると、多少、肩こり感がでます。

そして、腕を、下にもどしてくると、肩が「ゴリゴリ」と音がします。

さあ、どうしよう。この「ゴリゴリ」音。

ゴリゴリ音は関節のズレ

関節のゴリゴリ音は、あちこちの関節で遭遇します。

肩ばかりか、膝関節、股関節などなどです。

考え方とすれば、関節、骨と骨がズレているため、靭帯および骨がぶつかって「ゴリゴリ」と音がするのでしょう。

関節がすっかりはまれば、「ゴリゴリ」音は解消するはずです。

この方の肩こり・肩は、肩関節がズレて、亜脱臼しているために、肩こり・「ゴリゴリ」と音がする、と考えます。

この肩こり、肩関節が亜脱臼しているからでしょう、首を左右にたおすと、肩こり感がでます。

また、三角筋がカチカチに固くなっています。

こう考えます。

肩関節が亜脱臼しているせいで、それを防御するために、三角筋が固くなり、肩関節のさらなる脱臼を保護しているのだと。

さらに、そのせいで、肩こり、首筋のはりも生じているにちがいありません。

肩こりを整体します

肩こりを肩関節から整体していきます。

肩関節の脱臼の整復を行います。

それを、操体法的にアレンジします。

まず、コッヘル法です。

コッヘル法は、上腕・腕を体幹につけたまま、外ねじり(外旋)し、そのマックスのポジションから、上腕・腕を上げていきます(屈曲)。

これを、外ねじり(外旋)した状態から、自分の力で、腕をあげていってもらいます。

続いてヒポクラテス法です。

上腕・腕を体幹につけた状態から、腕を外ねじり(外旋)しながら、外に軽くひらいていきます(外転)。

そこから、腕を内にねじり(内旋)、体幹の前を通していきます(内転)。

この内旋・内転の動きをじぶんの力でやってもらいます。

すると、これは、なんのことはない、肩関節・手関節からの操体法の動きと同じであることがわかります。

脱臼の整復の狙い

肩関節の脱臼は、そのほとんどが、上腕骨頭が前にぬけることからおこります。

前方に脱臼した骨頭を後方に戻してあげる整復です。

コッヘル法では、腕を外旋・屈曲することで、骨頭を後方に戻します。

ヒポクラテス法では、内旋・内転することで、骨頭を後方に戻します。

このような、整復をこの方に試みましたが、まだ、肩は「ゴリゴリ」鳴るわけです。

まだ、はまりきっていません。

この整復法は、前方脱臼の整復なわけです。この方の亜脱臼の方向とは、ちがうと考えます。

肩関節の下方への亜脱臼

この肩こり、肩関節の下方への亜脱臼を想定してみます。

この方は、パン工場で働いていて、毎日、小麦粉のはいった20キロの袋を何十、何百も、運ぶそうです。

「なるほど。そうです」。その重さで、肩関節が下方に亜脱臼したにちがいありません。

骨格は疲れれば、歪む、ゆるみます。そのままの状態がつづけば、筋肉が亜脱臼を補助するために固くなりそのポジションを維持しようとします。

その状態が、三角筋のコリとなります。この方、三角筋がカチカチです。

それでは、肩関節の下方への亜脱臼の整復を試みます。

すると、明らかに、肩の「ゴリゴリ」音が減少しました。

3回整復します。

なんと、肩の「ゴリゴリ」音が鳴らなくなりました。

肩が整復され、正しいポジションに収まったと判断して良いでしょう。

「あ~、肩がすんごく軽くなった」と肩を動かします。

首の左右への横倒しの可動域も驚くほど改善されました。肩こり感もありません。
肩こりと肩関節の脱臼(1)
そういうことだったんです。

この肩こりは、肩関節の下方への亜脱臼が原因だったということです。

肩関節の下方への亜脱臼の整体

それでは、この肩こり、肩関節の下方への亜脱臼の整体です。

まず、脇の下に手をいれ、上腕骨を上にあげて支持します。
肩こりと肩関節の亜脱臼(2)
ここから、腕・上腕を外ねじり・外旋していきます。
肩こりと肩関節の亜脱臼(3)
このマックスのポジションから、腕を上げていってもらいます。外転ですね。
肩こりと肩関節の亜脱臼(4)
このような整体を3回行いますと、肩の「ゴリゴリ」音は鳴らなくなり、

首の可動域はよくなり、首からの肩こりはなくなり、さらに、肩を動かしての肩こりもなくなりました。。

肩こりと肩関節の亜脱臼について、理解が深まった整体となりました。

肩こりの原因が肩関節の「亜脱臼」であるケース

肩こりの原因が肩関節の「亜脱臼」であるケースには、よく遭遇します。

軽い亜脱臼の場合は、比較的あっさりと決まるケースが多いものです。

そして、肩関節の亜脱臼が収まりますと、肩こり、肩の痛みが瞬時に消えてなくなるのものです。

これども、この軽い亜脱臼を放置しておいて、筋肉が拘縮してしまうと、これは、厄介です。

四十肩・五十肩ということで、ご来院されても、なかなか長期化、良い成果が出せないケースも出てきます。

偖(さて)、軽い亜脱臼の場合の調整方法を編み出しましたので、ご紹介させていただきます。

オリジナル・軽い亜脱臼の場合の調整方法

基本的な考え方は、こうです。

「肩関節の自然な動きの軌道に、肩関節を誘導してあげると、肩関節は適正なポジションにはまる」というものです。

肩関節の屈曲・伸展と内転・外転を例に紹介します。

肩関節の屈曲・伸展。

肩関節の屈曲とは、腕を前から頭の方へ上げていく動作です。

肩関節の伸展とは、腕を後ろ、背中の方へ伸ばしていく動きです。

この時の、肩関節の自然な動きの軌道を考えてみます。

すると、肩関節は、屈曲・伸展だけで動くのではなく、必ず「内旋・外旋」の動きがともなうのが自然な動きであることに気づきます。

例えば、

肩関節の屈曲であれば、その動きには、外旋・外ねじりの動作が伴います。

肩関節の伸展であれば、その動きには、内旋・内ねじりの動作が伴います。

この動きを誘導してあげれば、肩関節は適正なポジションにはまります。

内転・外転も同様です。

肩関節の内転は、腕を体の前、体幹の前を横切る動きです。

肩関節の外転は腕を横から上げていく動きです。

内転・外転の自然な動きの軌道は、

内転していくと、肩関節の内旋・内ねじりの動作が伴います。

外転していく際には、肩関節の外旋・外ねじりの動作が伴います。

この動きを誘導してあげれば、肩関節の亜脱臼は収まります。

肩関節の動きを誘導する

肩関節の脱臼のはめ方の代表的な方法として、ヒポクラテス法とコッヘル法がしられていますが、

このどちらも、この肩関節の動きを誘導してあげる方法なのだと、理解できます。

今回ここで、提案させていただいたのは、もっと、簡単な方法です。

この方法が、本当の脱臼に適応できるかどうかは、やったことがないので、なんとも申し上げれませんが、軽い亜脱臼まででしたら、十分対応可能だと思われます。

右の首の付け根が痛くて、苦しい

さらに肩関節の亜脱臼の臨床レポートです。

ここ岩手に転勤してきて、インターネットで当院を探してくれました。

聞けば、全国あちこちの勤務地でいわゆる「荒治療」を受けてきたようです。

カイロプラクテックがお気に入りで、ボキボキ、バキバキしてもらうのがお好みのようです。

残念ながら、当院はそういうことはしないので、「ご期待に沿えればいいですが、、、」ということで整体することにしました。

お話を聞いている、問診の段階で、「なで肩」であることに気が付きました。

「なで肩」といえば、、、。

動診してみます。

首を左右にねじってもらうと、右の首の付け根に痛みが走ります。

また、首を左に倒してもらっても、右の首の付け根に痛みが走ります。

肩・腕を動診してみます。

右肩を横からあげてこうとすると、「ズシン」と腕の重さがつたわってきて、あげることができません。

これは、右の肩が亜脱臼しているせいです

すかさず、「ああ、これは、右の肩が亜脱臼しているせいですよ」と伝えます。

あちこちの整体院を渡り歩いてきた「猛者」の方ですから、「たぶんね」と頼りなげに付け加えます。

すぐに、亜脱臼の整体を試みます。

この亜脱臼の整体は当院オリジナルの整体です。

当院オリジナルの肩関節の亜脱臼の整体をしますと、肩を横からあげていく動診をしても、腕の重さが伝わってきません。

腕が軽くなって、スイとあがります。

肩関節がうまくジョイントしました

これは、肩関節がうまくジョイントした証拠です。

「ああ、確かに肩が軽くなった」と言ってもらえます。

さて、首を動かしてみます。

すると、首をねじっても、横にたおしても、首の付け根の痛みは出なくなりました。

上手くいきました。

「こんな簡単なことで、首の痛みがとれてしまうの」と驚いてもらえます。

2年ほど前に草野球をやっていて、肩が痛くなって、それから、ずっと、肩の重苦しい感じが抜けなかったのだそうです。

肩関節が亜脱臼することで、腕の重さに引っ張られて、首筋まで苦しくなっていたにちがいありません。

肩こりだからといって、首回りに原因があるわけではありません。

原因を適確に見抜くことができれば、「荒治療」なんて必要がないということです。