
トマトの苗木を植えていてぎっくり腰を発症
初夏ともなると、花木の世話をしたり、野菜を植えたりして楽しむ方がふえてきます。
この方、トマトの苗木を植えていたら、動けなくなったそうです。
「なにか、腰の奥から締め付けるような感じになって、動けなくなった」といいます。
なるほど、腰を取り巻く筋肉が、こむら返しのように収縮・拘縮してしまったにちがいありません。
典型的なぎっくり腰といえそうです。
痛みは腰方形筋にでます
ぎっくり腰は、その名前のとおり、痛みは腰に出ます。
骨盤と肋骨の間にでます。
ちょうど、腰方形筋が位置します。
これが腰方形筋です。
カパンディ「関節の生理学Ⅲ・P89」の写真です。
痛みは、この腰方形筋にでるわけですが、やはり、原因は痛みを出しているこの腰方形筋ではなく、
手・足の筋肉が悪さをして引っ張り、テンションをかけることで、痛みはこの腰方形筋にでる、と考えます。
この腰方形筋の痛みは、やはりいわゆる腰痛の考え方と同じに考えることができます。
骨盤が後傾する
骨盤が後傾、後ろに傾くシーンを想定してみます。
すると、当たり前ですが、骨盤が後傾するわけですから、骨盤のうしろのヘリ、腸骨稜と肋骨との距離は伸びてしまいます。
ちょうど、腰方形筋は腸骨稜と12肋骨の下縁とを結びますから、ここがひきのばされることになります。
あまりにひきのばされ過ぎると、筋肉は反発して、急激に収縮し、「イタタタタ、ぎっくり腰をやってしまった」となります。
これが「ぎっくり腰」のメカニズムだと私は考えます。
体幹を前傾する
それと、もう一つの原因は、体幹の前傾が続きすぎたことです。
体幹が前傾するとは、前かがみの姿勢が続いたということです。
事務処理、パソコンの作業が続くと、どうしてもこのように前かがみでの姿勢が続きます。
前かがみの姿勢の際、作動している筋肉群はお腹の筋肉群です。
前かがみでお腹の筋肉群が、作動しつづけると、背中は引っ張られつづけています。
腸骨稜と肋骨との距離を考えてみると、前かがみの姿勢の際には、この距離がひきのばされ続けていることになります。
つまり、骨盤の後傾と体幹の前屈、この二つの動作が続くと、「腰方形筋」にテンションがかかり、それに反発するように、急激な収縮がおこり「ぎっくり腰」を発症するということです。
ぎっくり腰の原因と手・足の関係
このように、ぎっくり腰は、骨盤の後傾と体幹の前傾から起きると、考えるわけですが、
この骨盤の後傾を引き起こす原因は何か?というと、これが、「足」なわけです。
そして、体幹の前傾を引き起こす原因は、「手」だということです。
ですから、ぎっくり腰を発症して、腰が痛いからといって、腰を整体するのではなく、
手・足から整体するのが道筋だと考えるわけです。
また、そのことがわかりますと、ぎっくり腰の整体の改善度が格段にあがりました。
開院したてのころは、ぎっくり腰といえば、腰まわりばかり整体し、なかなか成果をだせずに考え込み、
「ぎっくり腰は苦手だな」なんて思うこともありましたが、
ぎっくり腰の原因が手と足であることがわかってからは、ぎっくり腰の整体も大丈夫こなせるようになりました。
ここで、もうひとつ大切なことは、動診での見極めです。
そのぎっくり腰が、骨盤の後傾によるものなのか、体幹の前傾によるものなのか、を見極めることです。
見極めるなんていうと、大袈裟ですが、
要は、体幹を前傾して痛みが出る場合は、骨盤の後傾と判断し、
体幹を後屈して痛みが出る場合は、体幹の前屈と判断する、ということです。
あとは、手と足のトリガーポイントを整体していくわけです。