変形性膝関節症と膝関節の整体について、実際の整体について書き進めてきました。
膝関節を整体した矯正のテクニックは次の3つです。
①骨の操体法
②動きの操体法
③高橋廸男の整体術による関節の矯正
このうち、①骨の操体法については、前回、変形性膝関節症と膝関節の整体(4)変形性膝関節症と膝関節の整体(4)で解説しました。
さて、②動きの操体法について、私の考え方をレポートしてみます。
異論も多々寄せられることと思われます。
それほどまで、この②動きの操体法については、「語られていない」、ということです。
広く、操体法として、知られているのは、この②動きの操体法についてです。
操体法といえば、気持ちのいい方に体を動かしてもらい、抵抗をかけ、しばし、その状態をキープして、2~3秒ためたあと、瞬間脱力するというものです。
けれども、
なぜ、気持ちのいい方に体を動かすのか?
なぜ、抵抗をかけるのか?
なぜ、瞬間脱力するのか?
と問われれば、そのことについて記した記述にお目にかかったことはありません。
ただ、「そうするもんだ」ということになっています。
この曖昧さが、操体法の理解を難しくしている一つの原因であると、私は考えています。
と、いうことで、私の考える動きの操体法について書いてみます。
まず、第一に、気持ちのいい方、楽な方に体を動かすことについてです。
気持ちのいい方、楽な方というのは、実は「体の歪んでいる方向」だ、ということです。
この点で、まず、操体法について理解しようとするとき、つまづいてしまいます。
例えば、体が、丸まって、猫背になっている人は、前かがみになる方が、楽になっています。
体を反らそうとすると、体に痛みが走ったりするものです。
楽な方は、ですから、歪んでいる方向です。
体にとって、きつい方向が矯正すべき方向です。
操体法は、歪んでいる方向、動きが楽な方向に、体を動かしていきます。
それだけでは、ただ、体をさらに歪ませているだけです。
ですから、そこで、「抵抗」をかけるわけです。
動きに「壁」をつくるわけです。
すると、「壁」に動きはさえぎられて、「逆」の方向に、動きのベクトルが発生することになります。
すなわち、矯正方向に動きが発生します。
このようにして、整体していくのが、動きの操体法なのだと、私は、考えております。
膝関節の整体に取り組んでいる、この80歳のご婦人にもこの動きの操体法を使います。
膝関節の歪んでいる方向は、
脛骨が内転ー内旋ー前方に変位しています。
ですから、脛骨・下肢を歪んでいる内転ー内旋ー前方に動かしてもらい、その動きに抵抗をかけます。
すると、やはり、膝の屈曲のうごきは、少しづつですが、改善されていきます。