手を握ると肘が痛い
「手をグーすると肘が痛いんです」と坐骨神経痛で通院していただいていた患者さんです。
「もう坐骨神経痛は大丈夫なんですけど、手をグーすると肘に痛みが走るんです」。
「2~3か月前から肘が痛くて治らないのでまたお願いします」。
「仕事でお掃除のモップ拭きをしていたら、肘が痛くなったんです」。
なるほどです。
モップかけをするときには、あたりまえですが、モップの棒を握らなくてはなりません。
その握る動作のやりすぎで、前腕・手が音を上げたにちがいありません。
手の屈筋群の使い過ぎでしょう。
「いま、試しに、手をグーしてみて下さい。肘に痛みはでますか?」。
「はい。痛いです」。
「では、この手をグーして痛みが出なくなるように整体してみますね」。
前腕の屈筋群を触診します
前腕を触診してみます。
まずは、前腕の研究テーマのひとつである「腕橈骨筋」を触れます。
腕橈骨筋は上腕骨の外側縁の遠位三分の一の部位付近からはじまり、
橈骨の茎状突起(けいじょうとっき)の近位部に終わります。
手の親指側のむくっと大きい筋肉です。
前腕の外側を肘の上から手首の付け根までつづく実は大きい筋肉です。
そして、腰や手・指まで悪さをする筋肉です。
この腕橈骨筋を整体します。
起始部・停止部・筋腹と。
「また、グーしてみて」。
「さっきより痛みは減りましたけど、まだちょっと痛みが出ます」。
なるほど。
成果は少々でましたが、この腕橈骨筋が手をグーして肘に痛みが出る原因の本丸ではなさそうです。
それでは、つぎのアプローチです。
骨の操法です
前腕を構成している橈骨と尺骨をキュッと締めます。
上橈尺関節を写真のように締めます。
そして、肘関節を曲げたり伸ばしたりします。
「痛い!」と声がでます。
その声を聞きながら自分の上橈尺関節を締めながら曲げたり伸ばしたりしてみても、全然痛くもありません。
なるほどね~。
橈骨と尺骨が離開、開いてしまったんですね。
この方に上橈尺関節を触れてもらいながら、手をグー・パーしてもらいます。
すると、この関連する筋肉がムクムクと動くのがわかります。
「ほら、こんなふうに、筋肉が動いて前腕の骨と骨が離れてしまったんですよ。
ですから、こんなふうにギュツと握って肘を曲げたり伸ばしたりすると元通りに戻りますよ。
自分でやってみてください。簡単ですよ」。
「では、手をグーしてみて下さい」。
「あ~、大丈夫、肘が痛くありません」。
大成功です。
この二手の整体でうまくいきました。
あとは、坐骨神経痛が再発しないように、ふくらはぎの整体を行いました。
肘の痛みは、橈骨と尺骨の離開が原因の場合は多いようですよ。