苦手な症状は?と問われれば、
「耳鳴りと関節可動域制限」と答える。

「耳鳴り」の患者さん・Yさん(40代・女性)です。

電話予約の話では、
「首こり・肩こりがきつくて~」という話だったのですが、、、。

「実は電話ではお話しなかったのですが
2年前に突発性難聴になりまして、
右耳が聞こえなくなくなったんです」。

「そして突発性難聴になってまもなく
今度は右耳の耳鳴りもはじまったんです」

苦手な「耳鳴り」の患者さんなのですが
あまり、動揺しない自分に驚いておりました。

実は、今度「耳鳴り」の患者さんがいらしたら、やってみたい秘策があったからです。

それはさておき、
2年前に突発性難聴を発症してからは、地元岩手の大学病院まで通い、
「これが駄目ならもう手の打ちようはない」という
「カプセル」に入る治療を受けたそうです。
(残念ながら、そのカプセル治療の名称を覚えきれませんでした。スミマセン)

それから、鍼、整体等々を渡り歩いたけれども症状の改善はみられず、私のところまできたということです。

耳鳴りはいまだに原因不明です

「耳鳴りは医学的にも原因が解明されていなくて、正直なところ、私も上手く対応できていません。けれども、肩こり・首こりの症状があるわけですから、今日のところは、そちらの症状に対応させていただきますね」。

「ただ、肩こり・首こり、また背中のこりなどからも耳鳴りがおきるという話は聞いていますので、耳鳴りを念頭に置きながら、肩こり・首こりの治療をしていきますね」。

そこから、いつもの「肩こり」の定番メニューをこなしていくわけです。

例えば、
「肩上げ操法」
「胸椎の骨の操法」
「頸椎三軸」

首こり・肩こり、可動域はずいぶんと改善されました。

けれども「耳鳴り」は治りません。

首すじを触診していきますと、
頸椎の3番が後方に出ているのがわかります。

そのことを伝えますと
「ほかの治療院でもそこが後ろに出てますね、といわれました」とYさん。

首のこり、痛みもそこ(頸椎3番)のワキにあるといいます。

頸椎3番に触れながら
頸椎三軸を試してみますが、劇的な変化、頸椎のポジションの変化はみられません。

まあ、残念なことですが、
今日の治療は、可動域の改善と、肩こり・首こりの違和感が緩和されたところで打ち切ることにしました。

治療が終わったあと、こう切り出しました。

「今日は、コリの解消を狙った治療から耳鳴りにアプローチしてみました。結果はこのとおりです。上手くいきません。けれども、もうひとつ、試してみたい治療があります。頭を氷で冷やすだけの治療なんです。これが、首から上の症状にはスゴク効くんです。ですから、耳鳴りにこの頭を氷で冷やす治療を試させていただけませんか。治療代は結構です。実験ですから。もしよろしかったらお付き合い願えませんか?」と申し出ます。

Yさん。ありがたいことに快く同意してくれます。
「治療を続けてやってもいいのでしたら、明日でもいいですよ」と、嬉しいお言葉。ありがたいことです。

氷冷却操法

そして、翌日の第2ラウンド。氷冷却操法です。

はじめは、前の日の続きで、軽く、腰・肩・首の可動域を調整していきます。
違和感が軽減したところで、氷冷却操法にはいります。

首の後ろから後頭部にかけて、また頭部にも熱感・ホテリは十分あります。
「これはいけそうだ」、とほくそ笑みます。

首すじから後頭部にかけては、
ダンロップの氷枕。
左右の側頭部にはコンタン直伝の操体「氷」です。
側頭部の「氷」で頭頂部もおおうようにすっぽりと「氷」でおおいます。

スタートです。

45分経過。

「首すじが冷たくなってきました」とYさん。

「後頭部はどうですか」と私。

「まだ大丈夫です」。

「それでは首すじの氷枕ははずして、そのまま後頭部のほうに氷枕をずらしていきますね」

1時間15分。

「なんだか冷たくなってきました」
ということで、仕上げの「足ゆらし」で終了です。

「耳鳴りはどうですか~?」

「なんとなく、耳鳴りのボリュームが少しだけれど下がったような気がします」
と嬉しいお言葉。「あと、後頭部の重だるいツッパッた感じは軽くなりました」

なによりです。これまで、あまりに無力だった「耳鳴り」にたいして、ほんのわずかですが、良くなるキザシ、治療法の道筋が見えてきました。

「次もまたこのような治療を続けてみたい時はまたいらしてくださいね。今回のは実験ですから。お付き合いいただきありがとうございました」。