「肘がまだ痛いんです」といいます。
前回はじめてご来院の時は、肘も肩も背中も痛くて、ということだったのですが、
背中の痛みはずいぶん楽になったといってくれます。
けれども、「肘がまだ痛いんです」。
腕・肩を動かすと、腕の後ろのあたりの「肘」が痛むということです。
この現象は何がおきているのか?
「それとですね、起きているぶんには、腕をあげることができるんですが、
仰向けになって寝ると、腕をあげることができないんです」といいます。
このことを踏まえて、腕・肩を動診してみます。
座った姿勢ですと、確かに、前からも、横からも腕をあげることができます。
ただ、肩も痛いので、途中で肩に痛みがでますが、、、。
仰向けになってもらいます。
「腕を上にあげてみて~」と私。
「あら!」
腕が確かにピクリとも動きません。
おやおや、これは、どうしたことでしょう。
試しに、腕を肘で曲げて腕をあげてもらいます。
腕はあがります。
試しに、今度は、肘を伸ばしたまま、腕をあげてもらいます。
腕をあげようとすると、肘に痛みがはしり、やはり、腕はあがりません。
この現象をどう考えたらいいのでしょうか?
動診をしながら、考え込んでしまいました。
ああ、そうか!そういうことか!
肘を曲げると、前腕と上腕はジョイントしません。
けれども、肘を伸ばすと、前腕と上腕はジョイントすることになります。
そして、前腕と上腕がジョイントすると、腕があがらなくなります。
前腕と上腕のジョイントに何か問題がかくされているようです。
仮説としては、こうです。
前腕と上腕が上手くジョイントしていないために、腕があがらないにちがいない、というものです。
「ああ、そうだ、これは、肘の亜脱臼にちがいない!」
患者さんに説明します。
「これは、肘が亜脱臼しているにちがいありません。肘が軽く抜けちゃっているから、腕をあげようとしても、腕が作動できずにあがらないんだと、思います」
肘の骨の操法です
早速、肘の骨の操法を試みます。
肘の亜脱臼の骨の操法は、以前に仙台操体医学院の今先生に教えていただいています。
肘を軽く曲げて、肘、肘頭を意識しながら、前腕と上腕をジョイントしていきます。
軽~く、軽~く、おしこんでいきます。
さあ、動診です。
あがらなかった腕が10センチほどあがりました。
肘の亜脱臼という見立てはどうやら正解のようです。
肘の骨の操法を再度、行います。
「おお~」
腕がしっかりあがりました。
肘の痛みも出なくなりました。
肘の亜脱臼の見分け方もわかりました。
大変勉強になる、症例でした。
残すは、この方の肩の痛みです。
この肩も亜脱臼の可能性はかなり高いと思われます。