うつ伏せになって足を上にあげてみます
2017年9月16日、今昭宏先生主宰の仙台操体医学院の講習会に参加してきました。
講習会も大詰めのころ、うつ伏せになって足を上にあげる動作を改善させる操法を行っていました。
この操法は、動診で、足を上にあげます。
うつ伏せでの、股関節の伸展です。
なんらかの理由で、コリ・拘縮があると、この足がなかなか上にあがらないものです。
この可動域制限を改善するのが目的です。
それも、背中、脊柱起立筋のコリに触れることによって、この可動域制限が改善されます。
そのポイントを捜す練習にもなります。
なぜ背中を刺激すると、足の上りは改善するのか?
なぜ背中を刺激すると、足の上りが改善するのか?
これは、よく考えてみると不思議な現象です。
こんな風にも考えてみることはできます。
背中にコリがあるために、その作動筋である脊柱起立筋が十分に作動できないために、足があがらない、ともいえます。
けれども、作動するのが、背中の筋肉であれば、その反対側である、お腹にコリがあって、この足をあげる動作を阻害してると考えるのが普通ではなかろうか?
では、なぜ、背中を刺激すれば、足はあがるのだろうか?
股関節の伸展の動作が改善されるのだろうか?
軸回転の動きで考えてみます
このことを解決するひとつの考え方として、軸回転の考え方を導入してみます。
股関節の伸展は、もちろん、うつ伏せから足を上にあげる動作です。
この動きを軸の回転運動として考えてみます。
すると、軸をお臍に定めてみると、お臍から横に伸びた軸が前方に回転することによって、股関節・足が上にあがります。
この軸の回転運動の作動面は、ふくらはぎの後面・太ももの後面・お尻の筋肉といえます。
この回転運動の作動面をそのまま上肢まで伸ばしていくと、
なんと、お腹の面が作動面ということになります。
解剖学的・運動学的には「そんなバカな!なにを言ってるんだ!」ということになってしまいますが、、、。
そして、このお腹の面の拮抗する面が、乃(すなわ)ち、背中、脊柱起立筋だということです。
ですから、背中・脊柱起立筋にコリ・拘縮があることによって、股関節の伸展動作を阻害している、と考えることができます。
このような考え方の方が、シンプルで説明しやすいと、私は思います。
解剖学の本をひもといてみると、、、
けれども、あらためて、解剖学の本をひもといてみると、
脊柱起立筋の作用は「体幹の伸展」と書いてあります。
体幹の「伸展」であって、股関節の伸展とは書いていません。
うつ伏せで体幹を反らすと、脊柱起立筋は作動しているのだが、足を上にあげる動作では作動していないにちがいない、ということです。
なるほど、です。
軸を伸ばしていくと
背中の軸の作動面、つまり拮抗する面を伸ばしていくと、これはもう、背中にとどまることはなく、
上腕・前腕の後面、また首の後面、頭部の後頭部までも軸の作動面としてとらえることが出来ます。
また、足の方まで軸をたどっていくと、これは、太ももの前面、ふくらはぎの前面、さらには、足部の爪までも視野に入れなくてはなりません。
この軸上のコリ・拘縮を捜し出して、この股関節の伸展の動作を阻害する要因としてとらえることが必要になると、思われます。