操体医学院でのことです。
「トイレット操法」のことが話題になっていました。
ところがこの「トイレット操法」。いったい何なのかピンと来ない私。
隣にいたカワムーさんに「トイレット操法って何?四つん這いでのネコの操法のこと?」とトンチンカンなことを聞いています。
カワムーさん、さっそく実演してくれます。
(1)両膝を軽く曲げて両手を軽くその膝の上に添える。
(2)両膝を左右に倒したり、ねじったりしてみて、「快」のポジションを確認してみる。
(3)「快」のポジションがみつかったら、そのポジションに軽く上半身の体重をかけるようにして「圧」をかけていく。
コ~ン先生の「楽しくわかる操体法」を開いてみますと、膝の動きだけに限るものではなく、「ゆっくり首や肩や骨盤などを左右にねじったり曲げたりしてみて、心地よさを味わう操体です」とあります。
「なぁ~るほど」です。
一か月に一回ほど、ご来院いただいているNさん(60代・女性)です。
春から新しくできたスーパーでパートをはじめました。野菜売り場のバックヤードで野菜のカットやラッピッングの作業を担当しています。
もちろん4時間とはいえ、立ちっぱなし。同じ姿勢での動作が続きます。
「トウモロコシの皮むきとカットが一日に20箱。そんな作業がここずっと続いています。そしたら両膝が痛くなってきて、、、」と言います。
右膝は内側の関節裂隙(かんせつれつげき)、左膝は外側の関節裂隙に触診で軽い痛みが生じます。
なにかしら右膝の内側、左膝の外側が痛くなる作業、動作、姿勢が続いたにちがいありません。
自分でも自分の両膝に手を触れながら、痛みの部位を確認してみます。
「おお!、このポーズはカワムーさんに教わったトイレット操法そのものじゃん!これいってみよう!」。教えてもらった次の日に、早くもつかってみるチャンス到来です。
「Nさん。ひとりで膝の痛みをとるやり方を教えますからね。これ簡単だからやってみて!」。さっそくトイレット操法をはじめます。
軽く両膝を曲げてもらいます。そのまま両膝を右に重心移動してみたり、左に重心移動してもらいながら、痛みが出る方向を教えてもらいます。
左に重心移動しますと痛みがでます。
ですから、右に重心移動してもらいながら、軽く体重を両膝にかけていってもらいます。これを2回。
右に重心移動したポジションから、さらに両膝を右にねじったり、左にねじったりしてもらいます。
左ねじりの方が痛みがでません。
両膝を右に体重移動しながら、さらに左にねじってもらい、「圧」をかけてもらいます。これを2回。
動診です。先程、痛みの出た左方向に両膝を重心移動してもらいます。
「あ、痛くない!」とNさん。
「簡単でしょう!また、膝に痛みが出た場合には、こういうことをしてあげれば大丈夫良くなるはずですよ!」といって、一連の動作をもう一度復習してもらいます。
早期の膝痛にはこのトイレット操法で大いなる成果をあげることができました。
不思議なことに、操体医学院で学んだことは、スグに「使っておくれよ!」とばかりに、それにピッタリの症状の患者さんがいらっしゃってくれるものです。