藤木大地を聴く。

藤木大地というカウンター・テナー歌手の出現は、日本の、いや世界の音楽会の画期的な出来事といえるだろう。

「歌を歌う」ということを、根底からくつがえしてしまったといっても過言ではない。

一聴してわかることは、言葉・詩が明瞭に歌われていることである。

ひとつひとつの言葉・詩がそこなわれることなく歌われている。

歌曲というあまりにもあたりまえなことの原点のピュアな姿をここに見出すことができる。

歌曲。

言葉・詩があり、メロディーが流れるということ。

言葉・詩とメロディーはひとつの音楽であるということ。

だから、歌を歌うということは、言葉・詩を一言たりとも、ないがしろにしてはいけないということ。

あたりまえのようでいて、言葉・詩を歌っていない歌い手たちがあまりにも多すぎるということに、いまさらながら気づかされてしまう。

そう、ひとことでいってしまうと、「何を歌っているのか聴こえてこない」ということだ。

藤木大地を聴く。

ここには、
①美しい言葉と詩がある。
②美しいメロディー・楽曲がある。
③卓越した美しい声がある。
④卓越した伴奏者がいる。

この4つの要素が聴こえてくる。

身震いが止まらない。

このような身震いを体験したのは、もう久しくなかったことだ。

この体験をみなさまに。

音楽を愛するみなさまに!

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