「産後で腰が痛くて、肩こりもひどくて、首を曲げると首に痛みがはしって、頭痛もあるんですけど」とUさん・20代女性からお電話です。
産後まもなくの、腰痛・肩こり・首痛は多いものです。
不慣れな授乳や、抱っこによるものです。
前かがみの姿勢がつづくからです。
けれどもUさん。首、前屈して右にねじると「ピキッ」と痛みが走るというものの、「鎖骨の骨の操法」でうまくいきました。
また、腰、仙骨痛、仰向けになると、腰に痛みが走る状態も
「骨盤三軸」で、あっさり解消です。
決まるときは、決まるものです。
短時間施術でOKとばかりに終わりにします。
ところが、「さっき教えていただいた、肩こりを解消する動作で頭痛も治りますか」とUさん。
こちとら、すっかり、頭痛のことは忘れていました。
「ええ、頭の右側と目の奥に痛みがあります」といいます。
骨盤と首の調整をしただけでは現在の私の施術では頭痛までは解消されません。残念です。やはり、頭痛は頭痛の施術をしなければなりません。
再びベッドに戻り施術再開です。
まず、目の奥の痛みです。
仰向けになってもらい、Uさんの後頭部を両手のひらで触れます。
大後頭隆起の左右のやや尾方に軽くボコボコした横にはしる部位、下項線(かこうせん)があります。ここに指を触れます。
目を上下・左右に動かしてもらうと、目の動きと連動して、動く部位です。
ここに指を触れて、皮膚の操法をかけていきます。
「上(頭方)と下(尾方)とどちらがいい感じですか?」
「下です」とYさん。
下にズラシて、そのままジ~ッとしています。
なんとなく皮膚に動きが出てくる感触があります。
その動きがおさまるまで、ただ、ジ~ッとしています。
「目の奥の感じ、どう?」
「全然痛くない。なんで?」とYさん。
きっと、授乳や抱っこが続くせいで、下を見るのが常態になっていたのでしょう。下を見ると、それにひきつられて、眉毛から頭部のライン、後頭部までが、体幹前面の下方にひっぱられるのでしょう。
ですから、それを治してもらいたくて、後頭部の下項線の部位は体幹後面を尾方に下げてもらいたいという反応が出たにちがいありません。
目の奥の痛みの場合、この後頭骨の下項線をつかいますが、眉毛から前頭部、頭頂部のラインに皮膚の操法をかけても同じ成果が出せるにちがいありません。
次回、実験してみますね。
でも、まだ、頭痛感は残っています。
まだまだ、個別の症状に対応しなければ成果がだせません。
頭痛の治療法はみなさんいろいろおもちだと思われます。私が良く使う手を紹介させていただきます。
その前に、先日、仙台操体医学院でコンタンと頭痛の話になり、
「いま、頬骨の皮膚・骨の操法が頭痛の時のブームです」と話していたのを思い出しました。
これやってみよう。
と、いうことで、頬骨の皮膚・骨の操法です。
右頬の頬骨に指一本で触れて、上下・左右・左右のねじりをききわけてもらいます。
「下・左・右ねじり」です。
ジワ~っと待ちます。
「頭痛感どう?」
「まだ、ちょっと残ってます」とYさん。
まだまだ、私には頬骨からのアプローチはハードルが高いようです。
ですからいつもの定番です。
首を左右にゆっ~くり、ゆっ~くりねじっていきます。
「首をゆっくりねじっていきますからね。いいですか。首をねじっていくと、頭痛感が消えるポジションがあります。頭痛感が消えたら教えてくださいね」といいながら、首をゆっ~くりねじっていきます。
正中線から左に1センチ、いえいえ、5ミリほどの動きで
「あ、そこ」とYさん。
あとは、ズ~っとそのポジションを保持します。
ほどほどの頃合い、まあ、飽きたころですね。30秒から1分でしょうか。
正中線に首をもどし確認します。
「頭痛感どう?」
「あ~、ないです」とYさん。
保持するだけで、まだ頭痛感がとれない場合には、そのポジションから頸椎三軸にもっていきます。
こんな程度の操法で、頭痛はだいたいいけると思います。
頭痛は、頭が割れるほどの重症の頭痛は、脳腫瘍やクモ膜下出血の可能性がありますので、私どもの手におえるものではありません。片頭痛や、筋緊張性頭痛といわれている頭痛は、頭皮のコリ、または、頭蓋骨の骨膜のズレ、ハリのせいではなかろうか、と私は考えております。
それが、首からくるのか、肩からくるのか、はては足からだってくるにちがいありません。その原因をたどりながら施術していくと、頭痛もどこからだってアプローチできるにちがいありませんね。