股関節と鼠蹊部の痛み

「黙っていても左の内股のあたりというか、内側の股関節のあたりが痛いんです」といいます。

何をしていても、常に痛みが出るのだそうです。

座って仕事をしている時も、立って歩いている時も。

痛い感じ、鈍く痛い感じが常に消えないということです。

「坐骨神経痛だと思うんですが、、、」。

「整形外科を受診されたんですか?」

「いいえ。けれどもそんな気がするんです」。

なるほどです。

確かに整形外科を受診すると、お尻から下に痛みや痺れを訴えると、ひとまず坐骨神経痛という診断になります。

けれども、痛みが出ているのは、股関節の内側・鼠蹊部のようです。

おまけに、何をしても、黙っていても常に痛みが出現しているということです。

問診をしながら、座っていても、痛みが出ているということです。

これもやはり座り病です

けれども、この症状はわかりました。

きっと、間違いなく「座り病」です。

座っている姿勢のまま股関節の筋肉群が縮んでしまったにちがいありません。

ヒントは「黙っていても常に痛い」という点です。

「坐骨神経痛と痛みが消えるポジションについて」

このレポートで報告したのと同じ症状の方に間髪をいれずにご来院いただきました。

このレポートを検証せよ!といわんばかりに。

座っていても、立っていても痛みが常につきまとうわけですが、

仰向けになってもらい、とりあえず、「膝倒し」の動診をしてみます。

動きは良好です、可動域制限はでません。

けれども、両膝を動かしている間も、膝をたててじっとしている間も股関節の内側と鼠蹊部の痛みは変わらず出ています。

痛みに変化はありません。

左の股関節を屈曲、曲げてみます。

そう、腸腰筋の距離を短くしてみます。

これで、痛みは軽減するはずです。

ところが、見通しははずれ、「痛いです。痛みに変化はありません」という応えです。

そこで、うつ伏せになってもらい、左足を「カエル足」にします。

カエル足にもっていく途中では、結構痛みが誘発されて、「痛い」といわれましたが、そこの痛みを通過させて、あえてカエル足にもっていきました。

すると、やっと、

「痛みが軽減した」といってもらえます。

「痛みがゼロではないけれども、さっきまでよりは軽くなりました」といってもらえます。

座り病の姿勢

カエル足にもっていくことで、股関節の内側および、鼠蹊部の痛みが軽減しました。

このことは逆をいえば、この姿勢が日常生活であたりまえ、正常な姿勢になってしまっていることの証明でもあります。

日常生活で、股関節屈曲ー体幹屈曲、この姿勢が常態化してしまっているということです。

この姿勢のまま、筋肉が拘縮・縮んでしまったと考えます。

ですから、この姿勢からちょっとでも動くと、股関節の内側と鼠蹊部にテンションがかかり、痛みが誘発されるわけです。

この縮んでしまった筋肉群をリリース・整体すればいいわけです。

お腹を整体する

もう一度、仰向けになってもらいます。

すると、やはり、痛みは再発します。

けれどもやるべきことは明らかになりましたので、両膝を立ててもらい、お腹を整体します。

按腹です。

お腹の整体・按腹でお腹の筋肉、外腹斜筋・内腹斜筋・腹直筋に触れることはできても、その奥の腸腰筋までは触れることはできません。

まして、この方は女性の方ですから、お腹を触れるにも、腸腰筋まで触れることは、はばかられます。

ですから、ここは、アイロンでお腹を温めていきます。

筋肉は温めれば柔らかくなります。

触れることができない場合、このアイロン、温めるというアプローチは有効です。

盛岡はもう5月だというのに、アイロンでお腹を温めます。

もう十分、お腹の奥まで、腸腰筋まで温まったころを見計らって、両膝を伸ばしてもらいます。

「股関節の内側と鼠蹊部の痛みはどうですか?」。

「いまは、痛くないです」。

「さっきまでは、足を伸ばしただけで、股関節の内側と鼠蹊部に痛みがでたでしょう。

そういうことですよ。

仕事の上での姿勢の問題。

さらに、冷えが重なって、お腹の筋肉、お腹の奥の筋肉がすっかり固くなってしまったために、股関節の内側と鼠蹊部に痛みが出たと私は考えます」。

また、痛みが再発した場合には、カエル足のポーズでしばらく休むこと。

またお腹を冷やさないように気を付けることを伝えました。

けれども、このカエル足のポーズというのは、いろいろなことを私に教えてくれるものです。