仰向けと座位の違い
仰向けになってもらい、首を左右に側屈する動診をしてみると、大丈夫、首は左右に動くのですが、
座位、治療ベッドに腰かけてもらって、首を左右に側屈する動診をしてみると、首が動かない場合があるものです。
この現象は、何がおきているのでしょうか?
私は、次のように考えています。
前提として、つぎの二つのことを押さえておく必要があります。
①重力の問題。当たり前ですね。
②肩甲骨と鎖骨が下がる(肩甲骨が外転および下方回旋する)と、首の左右側屈の動きに可動域制限をかける。
肩こりと重力の関係について
①重力についてです。
立位ですと、重力は、当たり前ですが、頭のてっぺんから、背骨をとおって、足まで真っすぐ地面まで垂直にかかります。
けれども、仰向けになりますと、重力は、頭のてっぺんから、足先まで垂直にかかるのではなく、
体幹の前面、お腹のほうから、体幹の後面、背中の方向に垂直にかかるということです。
ですから、仰向けになると、肩甲骨はベッドに接しているため、頭から足先へとかかる立位でかかる重力から解放されていることになります。
つまり、②の肩甲骨と鎖骨が下がる(肩甲骨が外転および下方回旋する)現象から解放されているわけです。
仰向けになると、肩甲骨が下がるストレスから解放されるため、首は左右に側屈できることになります。
けれども、再び座位に、座ってもらうと、肩甲骨に垂直の重力がかかり、肩甲骨は下がります。
このために、首の側屈に可動域制限が生じます。
肩甲骨を外転、腕を外側に向かって動かす方向ですが、これは、次の二つです。
*この本を参照しています。
①前鋸筋
②小胸筋
肩甲骨を下げる筋肉について
また、肩甲骨を下方回旋させて、肩甲骨を下げる筋肉は、つぎの三つです。
①菱形筋
②小胸筋
③肩甲挙筋
これらの筋肉が拘縮していることから、肩甲骨が下がり、首の側屈の可動域制限をかけていると考えます。
ですから、仰向けで整体し、首の側屈の可動域が良くなったようにみえても、坐つてもらうと、首が動かない場合というのは、
まだ、これら4つの筋肉(小胸筋はだぶりますので4つです)のどこかに拘縮が「まだある」ということです。
このように、私は考えております。