ぎっくり腰で腰が痛いということで、ご来院いただいたのですが、
動診してみますと、なんと、右肩が上がらないことが判明しました。
ぎっくり腰で体幹が歪んでいるのですが、それはまずおいておいて、この肩からはじめます。
右肩を横上げ、外転していきますと、もう、90度で可動域制限がかかります。
また、結帯動作も腰までしか上がりません。
きけば、ずいぶん前から、この状態のままだということです。
研究テーマである結帯動作からはじめます。
これまでの探究から、結帯動作はまず、前腕からはじめるのが鉄則となっております。
前腕を整体していきます。
嬉しことに、前腕を整体していきますと、結帯動作が改善されてきました。
再度、もっと丁寧に前腕を整体します。
ますます結帯動作は改善されます。
さて、ここで、腕を横上げ、外転してもらいますと、なんと、肩があがりました。
それも、ほぼ、180度まで。
大成功です。
このことについて、考察してみます。
解剖学的・運動学的には、この外転の動作、
第一相は
①棘上筋
②三角筋
が作動します。
第二相は
①三角筋
②僧帽筋
③前鋸筋
が作動します。
さらに、第三相では、
この第二相の筋肉に加えて、
脊柱起立筋が作動することで、完成します。
この外転ができないということは、
この外転にかかわる筋肉の反対の筋肉がコリ・拘縮し、可動域制限をかけていると考えることができます。
例えば、棘上筋には、棘下筋、
僧帽筋には広背筋といったぐあいです。
いずれにしろ、体幹、肩甲骨および、上腕に関連する筋肉群なわけです。
手の筋肉、前腕の筋肉は問題とされていません。
けれども、前腕の筋肉を整体することで、肩が上がったわけです。
前腕の整体した筋肉は、
①尺側手根伸筋
②総指伸筋
です。
肩関節を外転する際、手の平は上にします。
手の平を上にして、外転していきます。
と、いうことは、手および、前腕、上腕の屈筋群が作動しながら、または誘導しながら外転の動作がおきるということです。
それに拮抗する伸筋群、①尺側手根伸筋②総指伸筋、また、上腕三頭筋にコリ・拘縮があると、この外転する動きに制限をかけるにちがいない、ということです。
解剖学的・運動学的には、関係ないとして問題とされないとしても、
現実の臨床では、前腕を整体することで、肩関節の外転の動作が改善されるという事実が出現するわけです。
ですから、この整体というお仕事はやめられないわけです。