四十肩・五十肩と広背筋との関係についてのレポートです。
「四十肩で肩が上げると痛いんですけど、亜脱臼かもしれないので診てもらえますか」ということでご来院いただきました。
亜脱臼という言葉をどうして知ってるのかと思いきや、
「知り合いに整体をやっている人がいて、その人に亜脱臼かもしれないから、診てもらえば」と言われたのだそうです。
右の肩です。
亜脱臼の鑑別はできる、「つもり」です。
肩関節を外転させて、その時の初動時の手ごたえでわかります。
亜脱臼ですと、「ズシン」と腕の重さが伝わってきます。
肩関節がうまくジョイントしていないために、腕の重さがモロに伝わつてくるのだと考えております。
この方は「亜脱臼ではありません」。
「これは亜脱臼ではないよ。きっと筋肉のコリの問題だと思いますよ」と伝えます。
動診してみますと、
外転は90度で突っ張り感がでます。
屈曲は180度まではいきますが、そこから先で可動域制限がでます。
結帯動作は骨盤の上までです。
けれども、外転は90度で違和感、痛みはでますが、上がらないことはありません。
180度までいけます。
これでしたら、「軽い」四十肩・五十肩といったところです。
また、肩を外転し、そこから下げてくると、90度のところで痛みが発生することもわかりました。
まずは、研究課題の「結帯動作」から整体していきます。
前腕を整体することで、やはり少々、結帯動作は改善されました。
そこで、腕を外転してみますと、ほら、もう大丈夫、外転での痛み、可動域制限は解消されました。
ところが、外転位から腕を下げてくるときに、まだ、90度のところで痛みが出ます。
なんとなく、背中から腰にかけてハリが感じられます。
広背筋は第7胸椎から仙骨まで下に伸びる広い筋肉です。
この広背筋の起始部を整体しますと、腕を外転位から下げても痛みは生じなくなりました。
肩関節の外転の動作は、外転位90度のところで、腕を外旋しないと、上がらないメカニズムになっています。
逆をいえば、腕が内旋位に変位していると、肩関節は90度以上は上がらないということです。
この広背筋にコリ・拘縮が生じると、広背筋が作動状態、内旋位に変位してしまうために、肩関節は外転できなくなります。
また、腰椎が「後弯」、丸くなって猫背状態になっても、この広背筋は作動状態になってしまうため、肩関節は内旋位に変位してしまいます。
腰を整体することで、肩が動くようになるので、驚かれることしばしばです。
けれども、そういうことになっているわけです。