四十肩・五十肩と猫背の関係についてのレポートです。
膝の可動域制限で通っていただいている80歳代のご婦人が、
「左の肩が痛くてあがらない」といいます。
動診をしてみますと、外転・横上げ80度ですでに肩に痛みが走り、あげることができません。
なかなかの重症といえる四十肩・五十肩です。
このタイプの四十肩・五十肩は、その可動域制限がかかる角度が90度までいかないばかりではなく、
もうひとつ特徴があって、外転していくと、肩がすぼまるように、独特の動きをみせます。
また、外転の際、手の平を上にしようとすると、前腕を外反しようとすると、スムーズに動きません。
そんな特徴をみせます。
このような可動域制限を呈する四十肩・五十肩は、猫背が原因である場合が多いものです。
コリ・拘縮しているのは「広背筋」です。
広背筋の起始部、第7胸椎から下から仙骨までを整体していくと、腕が上がりはじめるものです。
猫背になることで、この起始部と停止部である上腕骨の小結節稜の距離が伸びます。
そのまま、広背筋が固くなってしまい、可動域制限をおこしてしまう、と考えます。
このご婦人に尋ねてみます。
「最近、座っている時間が長くはなかったですか?」
「椅子に座ってばかりいました」という答えです。
椅子に座ってばかりいると、骨盤が後傾し、ますます、猫背の姿勢ができあがってきます。
広背筋を整体することで、
ほぼ肩は上がりました。
初診時の可動域制限は80度でおこり、これは重症そうにみえましたが、案外あっさりと可動域制限は解消されました。
椅子に座っているのは日常生活の中で、それは仕方がないことです。
あとは、気づいたときに、こまめに腰・背中を動かしてあげることが猫背の予防になります。
また、この方、体を動かすことに不自由がありませんから、
いくつかのひとりでできる操体法を指導します。
両膝を倒しながら、かかとで床を踏み込んでもらいます。
さらに腕をそとねじりしてもらいます。
こんな動作で、猫背の予防になっていくはずです。
何もしなくても、座っているだけでも、四十肩・五十肩を発症してしまうわけです。