坐骨神経痛について
坐骨神経痛という整形外科的な診断はよく耳にする病名です。
坐骨神経痛というのは、問診の段階で、「お尻~太もも~ふくらはぎ」にかけて「痛み」や「しびれ」の症状を訴えると、坐骨神経痛の疑いあり、とされ、
レントゲン検査やMRIによる画像検査により、脊髄神経に異常がみつかると、坐骨神経痛の診断が下されます。
この坐骨神経痛の原因は二つあるといわれています。
一つは、椎間板がヘルニア、はみ出ることにより、脊髄神経が圧迫されるため、坐骨神経痛の症状が出現するといわれています。
もうひとつは、脊柱管狭窄症ですが、脊柱・背骨の中が、何らかの理由で狭窄、狭くなることにより、脊髄神経が圧迫され、坐骨神経痛の症状が出現するとされています。
この二つの原因のほかに、どうやら、筋肉にコリができたり、固くなったりすることでも、この坐骨神経痛の症状、「お尻~太もも~ふくらはぎ」にかけて「痛み」や「しびれ」の症状が出現すると思われます。
この筋肉にコリができたり、固くなったりすることで引き起こされる坐骨神経痛のセルフケアの方法をお伝えしましょう。
お尻からふくらはぎにかけての痛み
筋肉のコリが原因の坐骨神経痛の場合、お尻からふともも、ふくらはぎにかけて触診していきますと、やはり固くなった筋肉に出会うことになります。
ふくらはぎにコリがあっても、ふくらはぎに痛みを出すばかりでなく、お尻にまで痛みを誘発させるものです。
ふくらはぎにコリがある場合のセルフケアの方法としては、大手健康雑誌「壮快」の2018年12月号で紹介した「ふくらはぎつかみ」は有効なセルフケアの方法といえます。
是非試してみて下さい。
今回ご紹介するのは、筋肉をもんだり、つかんだりする方法ではなく、全身を動かして行う、軽い体操です。
操体法(そうたいほう)といいます。
操体法(そうたいほう)について
操体法の創案者は、仙台市の医師・橋本敬三先生(明治30年~平成5年)です。
操体法の基本原理は、体にとって気持ちの良い、快適な動きを導いてあげると、体の歪みが整い、健康な体をとりもどすことができる、ということだと、私は理解しております。
この操体法は治療術というよりは、自分で自分の体を健康に保つためのセルフケア方法だと、私は思います。
操体法の中でも、有名な操法・体の動かし方に「膝倒し操法」があります。
この操体法の「膝倒し操法」は、健康雑誌に腰痛体操と称して、よく紹介されています。
やり方は、
①仰向けになり両膝を90度に曲げる。
②両膝を左右に倒してみる。
③お尻から腰に痛みや違和感が出た方向を右か左か確認する。
④そして、痛みや違和感が出た方向ではなく、その反対方向、痛みや違和感がでない方向に両膝を「ゆっくり」倒していく。
⑤ゆっくり倒していき、程よい地点で両膝の動きを止め、3秒から5秒ほど、「ため」をつくってからゆっり脱力、力を抜いていきます。
この操体法の体操を繰り返すことで、痛みや違和感が解消されていきます。
このような「膝倒し」のやり方は、腰痛体操としてよく紹介されています。
今回ご紹介するのは、この操体法・体操のアップグレード版です。
膝倒し操法のアップグレード版
上に記した、①~④までは同じプロセスです。
ここでは、右に倒すと痛みや違和感がでることとして、左に両膝を倒していきます。
両膝を45度ほど左に倒した地点で右足の「踵(かかと)」の内側で軽くベッドを踏み込みます。
もうちょっと別な角度からの写真だとこうなります。
このように、両膝を左に倒していきながら、右の踵の内側を踏み込んでいきます。
こうすることにより、膝倒しの腰痛体操のアップグレード版ができあがります。
膝倒し操法のアップグレード版の解説
この膝倒し操法のアップグレード版は、実は、二つの操体法の体操が組み合わってできています。
ひとつは、そのとおり「膝倒し」の操法です。
もうひとつは、操体法の操法では、これまた有名な「つま先上げ」操法が組み合わさってできています。
この写真は、「生体の歪みを正す・橋本敬三論想集」(創元社)P14からです。
このようにつま先をあげて脱力させることで、腰痛を解消する伝説的な技です。
つま先をあげるのと同じ効果が、踵で床を踏み込むことで期待できます。
試しに踵で床を踏み込んでみて下さい。
おのずと、つま先はあがってきます。
「膝倒し」の操体法の体操と「つま先上げ」の操体法の体操を組み合わせることで、これまでの腰痛体操として紹介されてきた「膝倒し」体操は、さらにその効果を発揮することとなります。
この二つを組み合わせて動いてみますと、
もっと動きがダイナミックになってきます。
坐骨神経痛ばかりか、腰痛にお悩みの方にもその効果が期待できる、操体法の体操だと思われます。