痛みは画像では写らない

定期的にご来院いただいている方から、こんな話をききました。

この方、10年ほどまえに脳梗塞で倒れ、今は後遺症もなく元気に生活しております。

今でも、命を救ってもらった総合病院の脳神経外科を定期的に受診しています。

この方、当院にいらしたのが、歩くと股関節が痛くて歩けないということでした。

そこで、はじめは、その総合病院の整形外科を受診し、レントゲン検査もし、MRIの検査もし、けれども何もしてもらえず、

また、股関節の痛みも一向に良くならないので、ご来院いただくようになりました。

その頃のことを、ふと思い出したらしくお話してくれました。

脳神経外科の先生は、この方の命の恩人ですから、この先生に、

「ここの整形外科は、私の股関節の痛みを治してくれなかった。

レントゲン検査をしても、MRIの検査をしても何もわからなかった。

不信感でいっぱいです」と文句をいったことがあるのだそうです。

すると、その脳神経外科の先生は、

「○○さん、そうはいってもね、レントゲン検査をしても、MRIの検査をしても痛みは写らないんですよ」といったのだそうです。

そう、痛みはレントゲン検査でも、MRIの検査でも写らない!

けれども、整形外科は痛みの原因を探して、レントゲン検査をし、MRIの検査をする。

それでは、痛みはどこにあるのでしょうか?

痛みを感じるのは?

はり・きゅう学校時代に習った、生理学の教科書をとりだしてみます。

「感覚器にはそれぞれ特殊な感覚に応じる感覚受容器が存在する」とあります。

そう、痛みを感知するのは、この感覚受容器です。

この感覚受容器で受容された信号が痛みとして伝えられます。

ですから、痛みは感覚受容器のある「そこ」に出現するといっていいと思われます。

そして、痛みは感覚受容器のある「そこ」とは、痛みの発生する組織のちがいにより、

①表在性痛覚(皮膚の痛み)
②深部痛覚
③内臓痛覚

この三つに分けられます。

①は皮膚
②は筋肉
③は内臓

と、大雑把にいえると思われます。

特にこの②の筋肉は、筋肉というより、筋肉を包んでいる「筋・筋膜」に

また骨を包んでいる「骨膜」にその受容器が集まっていると、思われます。

そして、この受容器の反応は、レントゲンやMRIでは写らないのでしょう。