足の裏がしびれる
安比高原でペンションを経営しているOさん、60代男性です。
椎間板ヘルニアでご来院です。
足の裏がしびれるような感じなので、整形外科を受診したところ、
MRIの検査を受け、椎間板ヘルニアがみつかったため、
椎間板ヘルニアからくる足の裏のしびれだろう、
と診断されたそうです。
椎間板ヘルニアと診断されたことをたまたま宿泊したお客さんに話したところ、
そのお客さんが当院で椎間板ヘルニアの治療を受けたら「椎間板ヘルニアと宣告された腰痛がいっぺんで治ってしまった」
と「椎間板ヘルニアなら一回いってみれば!」と当院を教えてくれたのだそうです。
当院の椎間板ヘルニア治療の評判が遠く、安比のペンションまでひろがっているなんて、なんとも嬉しいことです。
椎間板ヘルニアと宣告されても、まだまだ、現役で忙しくお客さんの料理づくりや部屋の掃除をしているOさん。
「夕方になってくると、足の裏、特に左足の裏がしびれてくる」といいます。
これって、椎間板ヘルニアが原因の症状なのでしょうか?
一日3回厨房に立ち料理をつくるのはなかなかハードな仕事です。
なんとなくこんなイメージが湧いてきました。
一日中立っているため、足の骨がひらいていったんだろう。
足の骨・中足骨と中足骨を結び付けている
深横中足靭帯がゆるんでしまったにちがいない。
とりあえず椎間板ヘルニアということなので、立位および仰向けで動診をしてみます。
椎間板ヘルニアですがどの動きも違和感をみられません。
椎間板ヘルニアの診断ですが、腰の動きに問題はないと判断します。
こうなれば、椎間板ヘルニアの症状といわれた足にアプローチします。
椎間板ヘルニアによる足のしびれという診断です。
けれども大丈夫。これは椎間板ヘルニアではない、と確信します。
立ちすぎて足の骨がひらいたイメージですから、足を足裏の中心にすぼめながら両足の中足骨を握っていきます。
ジワ~ッと締め続けます。
一分ほどでしょうか。
手を緩めて聞いてみます。
「足裏の感じはどうですか?」
「まだ、しびれ感はありますが、なんか、さっきより楽になった感じです」とOさん。
こうなれば続行です。
また同じように中足骨を締めていきます。
「どうですか?」
「足裏のしびれ感はなくなったのですが、親指の付け根のあたりにまだなんかしびれ感があるんですが、、、」とOさん。
こうなれば、拇趾も締めればいいにちがいありません。
拇趾を指先から末節骨、基節骨さらには拇趾の中足骨のそれぞれの関節面に「圧」をかけるように詰めていきます。
小技でさっと、中足骨を足底にまるめこむような動作もたしていきます。
中足骨を母指の指先から詰めながら、中足骨を横からも締めていくわけです。
「どうですか?」
「だいぶ楽になりました。もうほとんどしびれ感はない感じです」とOさん。
椎間板ヘルニアの治療が上手くいったときは、もう、嬉しくて、椎間板ヘルニアに対してやったことの解説をドンドンしてあげます。
「けれどもこの症状はまた、戻ると思いますよ。
仕事で立ちっぱなしで足に負担をかけすぎたのが原因なのですから」
「でもこの症状がもどった時には奥さんにいまやったようなことをしてもらえばいいと思いますよ」といって、同行してきた奥さんに足の締め方を教えます。
「あと、働く時にキネシオテープでテーピングして働くのも足の負担が軽減するので有効だと思いますよ。
足裏にまわすようにテーピングをしてみてください。大丈夫持つと思います」
なんでも教えすぎの私です。
中足骨を締めたら椎間板ヘルニアが原因とされた足裏のしびれ感が消失したということは何を意味しているのでしょうか?
しびれ感をいうのは長時間正座をしていると、しびれ感を生じるように、血管の圧迫による血行障害とも考えられます。
けれども、このケースは血行障害というよりも、靭帯がゆるんだこと、骨と骨との離開することで、神経が牽引され、「しびれ」を感じるセンサーが作動したと考えるほうがふさわしいようです。
靭帯には痛みやしびれ感を感知するセンサーが多く分布しています。
ですから、靭帯が離開・牽引されると「しびれ感」は誘発されます。
下肢に症状がでると、何でも椎間板ヘルニアに原因を求めてしまいますが、
椎間板ヘルニアを疑う前に、まず、観察すること。
お話を良く聞くことが大切です。
そんなところから椎間板ヘルニアが原因とされた症状を解決する突破口がひらけるはずです。