股関節の後面と臀部
股関節の後面、ここです。
ここを股関節の後面、後ろと表現するか、
お尻・臀部と表現するか、ご来院する方によってまちまちなものです。
「お尻・臀部」と言われたほうがピンとくるのですが、時には、「股関節が痛くて」と言われて、よくよくお話をきいてみますと、ここだったりするわけです。
確かに、骨盤と大腿骨をジョイントしている部分が「股関節」なわけですから、
ここも、大腿骨の大転子の後方ですから、股関節と言えなくもありません。
ここの痛みを訴える方も多いものです。
時には、整形外科を受診して、その痛みが出ている部分が、ちょうど「梨状筋」の走行する部分と重なりますから、「梨状筋症候群」という診断を受ける方もいらっしゃいます。
たしかにその痛みの部位、股関節の後面と梨状筋の走行は重なっていることがわかります。
また梨状筋ばかりか、この痛みを出している部分は、中殿筋の走行している部位であることもわかります。
ここが中殿筋です。
ほら、一番最初の写真と中殿筋の走行の部位とは重なっていることがわかります。
この中殿筋の深部には小殿筋もあるんですけどね。
そして、この辺一帯の痛み違和感を訴える方は多いものです。
この痛み違和感が起きるメカニズムについて考えてみましょう。
このレポートでは便宜上、統一して、この部分を「股関節の後面」と表現することとします。
梨状筋と中殿筋のはたらき
股関節の後面の痛みと違和感のメカニズムを考えていく前に、今一度、梨状筋と中殿筋のはたらきを、おさらいしておきましょう。
「ボディ・ナビゲーション」(医道の日本社刊)によりますと、
梨状筋は、「股関節を外旋させる」はたらきと、「股関節が屈曲した時、股関節を外転させる」はたらきがあるとされています。
股関節・太ももを外にねじったり、仰向けになって膝を立て、そのまま膝を外に倒すときにはたらく筋肉ということです。
また中殿筋は、「股関節を外転させる」、つまり、太ももを外に広げる時にはたらく筋肉ということです。
そして、「股関節の後面」に痛みや違和感を訴える方の股関節の動きを検査してみます。
仰向けになってもらい、痛みをや違和感を訴える方の股関節を曲げてもらい(屈曲)、膝を曲げた状態にしてもらい、膝を外側に倒してもらいますと、股関節・太ももが外側に倒れ切らず、途中で止まってしまいます。
このような現象が起きてしまいます。
仰向けで膝を立て、外側に倒す動作は、股関節の「外旋と外転」の複合動作と言われています。
股関節を外にねじる動作と、股関節を外に開いていく動作の複合です。
ですから、この動作をする際に作動している筋肉は、主に「梨状筋と中殿筋をはじめとする臀筋群」であるといえます。
であれば、この動作を邪魔している筋肉は、素直に考えれば、その反対の筋肉が邪魔をしていることになります。
そう、太ももの内側の筋肉群・内転筋群です。
内転筋を触れていきます
そのように考えて太ももの内側・内転筋群を触れていきますと、
やはりかなり痛がるポイントがあることがわかります。
このテープは「長内転筋」の走行を示していますが、ここを丁寧に触れていきますと、
長内転筋の停止部、ほぼ太ももの中央部の内側に「コリコリ」とした筋肉のコリを触れることができます。
患者さんにもかなりの痛みを感じるはずです。
ここを「痛きもちいい」ようにもみほぐしていきます。
太ももの内側ですから、感覚はかなりデリケートですから、あまり強い力でもまないように気をつけます。
また、そのコリの部分を同心円を描くようにクルクルまわすようにもむ方法も有効です。
このように長内転筋をもみほぐしてから、膝倒しから外に膝を倒してもらいますと、随分とその可動域は改善されてきます。
すると、また「股関節の後面」の痛み違和感も解消されていきます。
股関節後面の痛みと違和感のメカニズム
それでは、股関節後面の痛みと違和感のメカニズムについてみていきましょう。
股関節の後面である、梨状筋や中殿筋の走行上に痛みや違和感が出現するということは、
梨状筋や中殿筋に過剰の負荷がかかっている、過剰にストレッチがかかっている、筋肉が過剰に引っ張られている、と考えることができます。
筋肉が過剰に引っ張られることで、痛みや違和感を伝える神経の受容器であるセンサーが作動してしまい、痛みや違和感が出現してしまう、ということです。
ですから、梨状筋や中殿筋を過剰に引っ張っている筋肉を特定し、梨状筋や中殿筋を引っ張っている力をゆるめてあげると、その痛みや違和感は解消されるはずです。
その原因となっている筋肉が、内転筋群、なかでも長内転筋である場合が多いものです。
長内転筋はその名前の通り、股関節・太ももを内側にひきよせる筋肉です。
この筋肉が作動すると、その反対のはたらきをする筋肉である梨状筋や中殿筋が引っ張られる、ストレッチがかかる状態になります。
内転筋群にコリが生じますと、コリは筋肉を縮める、引っ張るはたらきがあると、私は考えていますので、反対の働きをする梨状筋や中殿筋に負荷をかけることになります。
このことが、痛みや違和感を出現させているのだと考えます。
内転筋群にコリがある状態、つまり梨状筋や中殿筋に負荷がかかった状態で、立ったり歩いたりして、梨状筋や中殿筋が作動しますと、さらに負荷がかかり痛みや違和感が出現することになります。
このように、「股関節の後面」の痛みや違和感について私は考えております。
ですから、「股関節の後面」に痛みや違和感を感じたら、太ももの内側のコリコリしたコリを「痛きもちいい」ように丁寧にもみほぐしてあげれば、「股関節の後面」の痛みや違和感は緩和されていくと思われます。
是非試してみて下さい。