「肩が痛い」と20歳の大学生です。
お母様が当院のおなじみさんでしたので、お母様に連れられてご来院です。
「左肩が痛い。」
問診票を書く手をみると、左利きです。
それと、肩甲骨の下の周辺が痛苦しいということです。
これは、もう肩関節の亜脱臼を想定します。
「五十肩みたいな症状ですね」
「昨日の夜はあまりにも痛くて、夜間の救急にいってきました。」
「レントゲンをとってもらい、骨には異常がないということでした。」
「これは、骨には異常がないので、五十肩みたいな症状だな、と診断されて、痛みどめと筋肉をやわらかくする薬を処方されてきました。」
なるほどです。こちらとしても骨に異常がないのはなによりです。
私の見解を伝えます。
「これは肩関節の亜脱臼だと思います。
肩がチョット抜けた感じになったために、腕も肩甲骨も下にひっぱられて、肩や、肩甲骨の下まで痛みが出ているんだと思います。」
動かしてもらいます。
腕を横から上げていきます(外転)。すると、やはり、亜脱臼特有の腕の重さが伝わってきます。
肩の亜脱臼の見立てに確信がもてます。
前から上げていきます(屈曲)。
180度。耳の所までくると、痛み、違和感が肩および、肩甲骨に生じます。
この痛み、違和感が解消するようにやってみます。
肩の亜脱臼の整体
肩の亜脱臼の整体について、このところずっと探求しています。
そのノウハウも身に着けてきました。
わかってきたことは、下方脱臼だとしても、その鑑別の仕方は、
上腕骨頭の前方脱臼か後方脱臼かみわけることがポイントです。
いくつかの、肩の亜脱臼の動きの整体を試みます。
その結果、下のような整体で肩がはまりました。
何をやっているかわかりませんよね?
外旋から外転にもっていって、その動きに「圧」をかけます。
この結果から、この肩の亜脱臼は、
上腕が過・内旋してしまったために、上腕骨頭が後方にはずれてしまったのだ、と考えることが出来ます。
「何か重い物でも持った?」と私。
「飲食店でアルバイトをしていて、ズンドウをもったり、洗ったりしたからですかね?」
なるほどです。
ズンドウを洗うために、手をぐるぐるまわす動きが想像できます。
そんな動作からも肩関節は亜脱臼してしまうということです。
肩を動かしても、もう烏口突起周辺も、肩甲骨にもいたみは出なくなりました。