肩こりと「氷冷却操法」
最近のマイブームの操法といえば、
「氷冷却操法」です。
なんのことはない、患部を氷で冷やすだけです。
コ~ン先生の「アイシング操体」のベースとなっている「構造医学」の「自然治癒のカギは重力にある!」を引用してみます。
「冷却媒体としては、普通の氷を使う。
普通の氷といっても、冷蔵庫から出したばかりの凍着した氷ではなく、
水でザーッと洗って溶けだした状態の氷を使う。
凍着した氷だとポテンシャルエネルギーが大きくて、凍傷を起こしてしまう。
氷が溶け始めて一定時間溶け続けている融点(摂氏零度)が重要である。
これだと凍傷を起こすこともなく、
氷が溶けて水になるまで、零度の状態が保てる。これを「生理零度」という」。
ですから、「氷」をビニール袋(コ~ン先生は袋のラップ・アイラップを二枚重ねにして使っています)にいれ、軽く水あらいしたあと、水をすて、中の空気を抜き出しながら袋の口をしばって使います。
この氷袋で局所を冷やしていくわけです。
腰痛・肩こりがきつい看護師さんです
看護師のKさん(40代女性)です。
二番目のお子さんを出産してから、腰痛・肩こりがきついということです。
「肩こり」はどうやら、二つのタイプに分類できそうです。
(1)首の可動域が明らかに悪い肩こり
(2)可動域が良いのに肩こりを訴える肩こり
Kさんは(2)のタイプの肩こりに分類できます。
首の前後屈・左右の側屈・左右のねじりの動診をしても、可動域は十分であり、また、動かしても違和感・窮屈間は生じません。
後ろの首すじから後頭部にかけて、手をかざしてみますと、明らかに「熱感」・「ほてり」を感じます。
「Kさんの肩こりは、首筋から肩甲骨の間あたりが、なんか重だるい感じ、苦しい感じの肩こりじゃないですか?」と私。
「そうです」
のぼせが原因の肩こり
「こういうタイプの肩こりは実は肩こりではなくて、ほてり、のぼせからくるものにちがいありません」。
「それに、手足の冷えもあるんじゃないですか?」と私。
「そうです。カラダを温めようと思って、お風呂にはいってもその時ばかりで、お風呂からあがるとすぐに、全身冷えてしまうんです」
「それも典型的なほてり・のぼせからくる症状です。その症状を治す特効療法をやってみますね。ナント!ただ氷で首すじと頭を冷やすだけです。これがスンゴク効くんだな~!詳しくは氷で冷やしながら説明していきますね」。
さっそく氷を準備します。仰向けになってもらい、首すじ・後頭部・側頭部・頭頂部を氷で冷していきます。
「気持ちいい~!」
これでもう大成功確実です!
「脳の奥、視床下部というところに体温を調節する中枢があるわけです。体温調節中枢といいます。
ここに温かい血液が流れてくると、脳は暑いと判断してカラダを冷やし始めるわけです。
逆に脳の視床下部に冷たい血液が流れてくると、脳は寒いと判断して、全身を温め始めるわけです。
ですから、究極の冷え性対策というのは、実は脳を冷やすこと、また脳への血液の通り道である首すじを冷やして脳への血液を冷やしてあげることなんです」
「ほら、Kさんの首すじも後頭部もこんなに、ほてっていますよ。その根拠として、こんなに冷やしても冷たい感じがまだでてこないでしょう?それだけ、ほてっている、のぼせているということですよ」。
「のぼせている感じというのはあったんですよね」
「なぜのぼせるのか、頭に血がのぼるのかというと、結局ストレスということになるんでしょうね。頭でいろいろ考えているとおのずと脳は血液を必要とするわけですからね」。
「あ~なんか手と肩のまわりがポカポカしてきました」。
嬉しいですね~。頭を冷やすと手足が温かくなるという仮説のとおりの結果がでてきました。
「実は、肩こりがひどいので、肩こりには温めた方がいいと思って、毎日寝る前に肩や鎖骨のあたりにホッカイロを張って温めてから寝ていたんです」
「寝つけないでしょう?」
「はい」
「ほてって・のぼせて寝つけなくなっていたんです。首すじと頭を冷やして寝てみて下さい。ほんとうに良く眠れますよ」。
「お風呂にはいってもすぐカラダが冷たくなってしまうのは、これだけ、のぼせているのに、さらにお風呂に入ってカラダを温めるものだから、脳にはますます熱い血液が流れ込んでしまい、脳は大変だ!暑い!暑い!緊急事態だとばかりに一気にカラダを冷やすわけです。だから、お風呂にはいってもすぐ冷えてしまうんですよ!」
30分ほどで冷えた感じがでてきましたので、今日の治療はここまでです。
二回目のご来院の時には、頭を冷やして寝るようにしたら、すぐに寝つけるようになったと、報告してくれました!頭寒足熱です!