脊柱管狭窄症と診断された方は腰が曲がっています

「腰も痛いし、太ももも痛がって動けないんです」と娘さんに連れられてお父様がご来院です。

車から降りてくる姿を見ていると、もう、腰がまがり、背中もすっかり猫背になっています。

これでは、足が上がるわけもありませんから、歩けるわけもありません。

おやまあ、大変です。

手足も冷えます

お話を伺いますと、ここ一年ほど前から、このようになり、腰も太ももも痛くて動けないのだそうです。

整形外科では脊柱管狭窄症の診断をうけ、痛みどめの処方をうけ、痛いからと言って、それはたくさんの痛みどめを飲んでいたそうです。

「痛いだけじゃなく、手・足が冷えて、寒い、寒いとばかり言っています」と娘さん。

手・足を触れてみます。

力なく、ふかふかです。

「これは、きっと、手・足にこりができて血流が悪くなって、手・足が冷えてるんじゃなくて、

痛みどめの飲みすぎで、血流が悪くなって、手・足が冷えてるんだと思いますよ。

痛みどめには、そのメカニズムは私にはわかりませんが、血流を悪くする成分が含まれているそうですよ。

痛いからといって、痛みどめを飲みすぎて、すっかり血流がわるくなって、手・足まで、血液がまわらないんだと思いますよ。

我慢ができるんでしたら、痛みどめはできるだけ飲まない方がいいと思います」と私見を述べます。

腰が曲がってしまい肩も上がりません

座ってもらい動診してみますと、やはり、肩も上がりません。

猫背になると、肩は上がらなくなります。

けれども、おもしろいことに、もっと、猫背にして、体幹をもっとかがめてしまうと、肩は上がります。

「こういうことですよ。

ここまで、前かがみにしてあげると、肩はあがります。

この姿勢が当たり前の、正常な姿勢になってしまったんですよ」。

聞けば、退職したあと、畑をかりて家庭菜園をはじめたのだそうです。

これは、畑仕事のやりすぎで、背中も腰も曲がってしまったということです。

体が畑仕事のしゃがむ姿勢に適応してしまったということです。

畑仕事をするにはふさわしい体になったのでしょうが、日常生活をおくるにはなんとも不適合な体ができあがってしまいました。

「選ぶ道は二つです。

このまま、腰が痛いからといって、腰を丸めて、腰の丸まったお爺さんとして生きていくか、

痛みを我慢しながらも、背筋をすこしづつ伸ばしていって、背の伸びた生き方をするかです」

「歩くと、痛みが出て、つらいのですけれども、一番いいのは、歩くことです。

歩くと、背筋が伸びてきます。

痛いことをやれという、なんとも酷な話ですけどね」。

背筋が伸びました

仰向けになってもらいます。

ところがどっこい、腰が丸くなっていますから、仰向けになることはできません。

両膝を立てることで、なんとか仰向けになってもらいます。

コリが原因ではないと踏んでいますから、ここは、もう基本の操体法を指導していきます。

両膝を立てた仰向けから、「つま先上げ」をやります。

さらに、両腕を足していきます。

両腕を外旋、外ねじりするよう指導します。

そうすることで、体幹・背中が反る動作が加わります。

矯正する動きですから、

「痛い時は無理しないでくださいね。

痛い手前のところまででいいですよ。

その状態からジワジワのびていきますから」

と無理な動きは慎むように指導します。

そして、膝倒しも指導します。

両膝を左右に倒しながら、かかとで床を踏み込んでもらいます。

さらに、この膝倒しでも、両腕の外旋の動きを足していきます。

さらに、自力でやる骨盤矯正です。

この3つの動きを2セット整体しました。

すると、両足を伸ばしても仰向けになることができました。

操体法を指導します

「こういう体操・ストレッチ(操体法)を一日に何度もやってみて下さい。

夜寝る前にもやって、足がのばせる状態にしてから、眠ると腰も伸びて、

眠っている間に猫背の矯正にもなりますよ」と指導します。

後は、自分で、どれだけ努力するかです。

畑仕事のやりすぎからくる、骨盤後傾、猫背が形成され、整形外科の診断では脊柱管狭窄症という流れです。

立位で生きることを体が思い出せば、きっと、元の体に戻ることができると思われます。