腱鞘炎と前腕の筋肉について

腱鞘炎の臨床、また腰痛、肩こりにしても、前腕の筋肉の影響を抜きにして語ることはできません。

腰痛であろうと肩こりであろうと、前腕の触診と整体は欠かせません。

前腕の整体のポイントについては、

「腱鞘炎と橈骨茎状突起」

「ドケルバン病と腕橈骨筋」

と題するレポートでも論じてきました。

またもうひとつ、興味深いポイントがここです。

円回内筋の付着部です。

円回内筋を触れる

前腕を触診していきますと、

だいたいいつも、手首周辺、橈骨茎状突起から肘にむけて、橈骨に沿って触れていくわけですが、

上の写真のポイントのあたりにくると、筋肉が別の盛り上がり、膨隆してくることに気づきます。

表面上、触れているのは、腕橈骨筋なわけですが、その筋肉とは別の筋肉に触れます。

これが、私は、「円回内筋」だと解釈しています。

腕橈骨筋の奥に位置して、橈骨に付着している筋肉です。

ここのポイント、円回内筋を整体・剥がしますと、腰痛のねじりの動作、

膝倒しの動診での可動域制限が解消されることが、それは多いものです。

ここを古代中国人は「孔最(こうさい)」と名付けたわけです。

経絡経穴の教科書を見ますと、孔最の位置する筋肉は、腕橈骨筋としか記されていませんが、

その奥に位置する円回内筋の臨床上での重要性に気づいて「孔最(こうさい)」という経穴に定めたのだと私は考えます。

円回内筋は、

上腕骨の内側上顆、内側上腕筋間中隔、尺骨鈎状突起(こうじょうとっき)にはじまり、

橈骨の前面と橈側面(円回内筋粗面)に停止します。

そして、前腕を回内し、肘関節をも屈曲します。

円回内筋と腰痛との関連

この円回内筋と腰痛との関連は驚くほど重要です。

どうやら、円回内筋は、強力に前腕を回内し、上腕を内旋させ、さらには体幹・腰椎をも屈曲させるようです。

ですから、この円回内筋を整体・剥がすことにより、体幹・腰椎も伸びて、その腰痛がずいぶんと解消されるものです。

確かに、日常生活での前腕の使い方を振り返ってみますと、手を使う、腕を使うということは、そのほとんどのシーンで前腕は回内位にねじれるものです。

手を使うだけで、前腕は回内位に変位していきます。

これが、腰痛のひとつのはじまりといえます。

特に上肢が原因の場合の腰痛については、この円回内筋の整体・剥がしは特に有効です。

円回内筋と結帯動作

また、円回内筋と四十肩・五十肩で問題とされる「結帯動作」の解消にも有効なポイントになります。

この円回内筋は、筋肉の連結で上腕二頭筋と接続しています。

上腕二頭筋の拘縮からくる結帯動作の障害のもう一つの原因がここにあるとも言えます。

そしてもちろん、腱鞘炎とも関連してきます。

指の屈曲障害ともいえる腱鞘炎の場合、屈筋群の整体はかかせないわけですが、

ここでもこの円回内筋は浅指屈筋・橈側手根屈筋と連結しています。

これら、屈筋群のさらなる原因の筋肉の可能性も秘めています。

そんなことを念頭に置きながら、この円回内筋・孔最に触れ、整体・剥がしていくわけです。