腱鞘炎と橈骨茎状突起

橈骨茎状突起について

腱鞘炎の臨床が続いています。

なかでも、腱鞘炎のうちのドケルバン病の症例が続き、たくさんのことを学ばせていただいております。

ドケルバン病については、

「ドケルバン病と腕橈骨筋」

として、ひとつのレポートにまとめました。

この腕橈骨筋が停止する、付着するのが橈骨茎状突起です。

ここが橈骨茎状突起です。

経絡経穴を参考にします

東洋医学、経絡経穴をひもといてみます。

この橈骨茎状突起周辺には、経穴が3つ定められています。

肺経の

列缺(れっけつ)
経渠(けいきょ)
太淵(たいえん)

この3つです。

わずか、指3本ほどの幅に3つもの経穴を定めています。

ここが何か重要なポイントであることを臨床の経験から認めていたのだと思われます。

太淵(たいえん)は、橈骨茎状突起と手の舟状骨との裂劇(れつげき)・間にとります。

経渠(けいきょ)は、まさに、橈骨茎状突起です。

そして、列缺(れっけつ)は橈骨茎状突起の頭方、橈骨茎状突起の膨らみの終わったあたりかと思われます。

解剖学の写真をみてみると、

経渠(けいきょ)の橈骨茎状突起には、腕橈骨筋の停止部といえそうです。

そして、列缺(れっけつ)は、どうやら、方形回内筋の停止部といえそうです。

私は、自分の都合でそのように理解しました。

なるほどです。

列缺(れっけつ)とは、方形回内筋の停止部。

経渠(けいきょ)は、腕橈骨筋の停止部です。

方形回内筋について

方形回内筋は、尺骨の前面の遠位四分の一の領域にはじまり、

橈骨前面の遠位四分の一の領域に終わります。

そして、その名前の通り、前腕部を回内します。

この方形回内筋筋が凝り固まり・拘縮するとどうなるのでしょうか?

前腕は回内位で固定し、

それにともない、上腕も内旋していきます。

さらに、肩甲骨も外転、外に引っ張られ、肩が前にすぼまった、いわゆる猫背のできあがりです。

そうなると、私は考えます。

だったら、まず猫背の解消のためには、まずここから、列缺の整体から始めるのは、有効な整体の始め方だと思われます。

また、私の整体の研究課題の一つである、「結帯動作」の解消のためにも、有効です。

なぜなら、結帯動作は、その最後の動作で、前腕を回内する動作がともないます。

その際、この方形回内筋が凝り固まり・拘縮すると、この回内の動作が出来なくなります。

この逆の動作、回外の動作が邪魔をして、作動不全を起こすことももちろん考えられますが、

方形回内筋の凝り固まり・拘縮を整体することも十分価値のある整体です。

回内の動作と回外の動作、そのどちらも見極めながら整体することです。

ですから、この列缺(れっけつ)というポイントは、前腕ばかりではなく、上腕、上肢、さらには腰痛までにも影響を与えることになります。

経穴が集まっているポイントというのは、やはり、それなりに意味があるのだと、あらためて古代中国人の叡智には感服する次第です。