ふくらはぎのコリが原因だった頭痛
足、それも「ふくらはぎ」の筋肉のコリ(ファシア)が原因で頭痛をおこしていた症例です。
小学3年生のそれは可愛らしい女の子です。
20日前から前頭部の頭痛が消えないということです。
待合室でお母様が問診票を書いている間にもお勉強をしているほどですから、まじめなお子様にちがいありません。
「あれ、この頭痛は勉強のし過ぎのせいかな」とアタリをつけます。
小児科、耳鼻科、脳神経外科に診てもらったということですが、症状が改善されず、当院のホームページをご覧になりご来院いただきました。
脳神経外科ではMRIの画像診断もうけていて、脳に異常はみられなかったということです。
それならば、ひと安心。
脳に異常がみられないのであれば、この頭痛は筋肉のコリ(ファシア)が原因の頭痛である可能性は高くなります。
いわゆる筋膜性疼痛症候群MPS)の可能性は高いといえます。
それならば、当院でも対応できる可能性は高いということです。
頭痛を引き起こしている原因となる筋肉のコリをみつけだせるかどうかにかかっています。
体操クラブに通っています
問診の段階で体操クラブにほぼ毎日通っていて、練習していることがわかりました。
体操クラブがお気に入りで、自分から進んで楽しく練習に行くのだそうです。
親御さんに強制されて通うのではなく、自分から進んで練習にいくのであれば、それは喜ばしいことです。
毎日練習に通うのですから、メキメキ上達して、盛岡でもトップクラスの成績を残しているのだそうです。
待合室でお母様が問診票を書いてる間にも、時間を惜しんで勉強していたのは、体操クラブで時間をとられてしまうので、ちょっとした隙間時間をも無駄にしないで勉強を済ませているのだそうです。
そう、体操の練習をやりたいがために。
小学校3年生でこの心がけとは、本当に立派なものです。
いま、季節は冬です。
この寒さの中、毎日、体育館で練習している光景が目にうかびました。
小学校3年生の女の子が素足でレオタード姿で練習している光景が!
ふくらはぎの筋膜リリースです
「ああ、これは、わかった。
この寒さからくる冷えと練習の頑張りすぎからくる筋肉のコリにちがいない」と、ヒラメキました。
足のコリだとするならば、やはり「ふくらはぎ」からアプローチするのが第一です。
軽く「ふくらはぎ」に触れただけ、触診しただけで、もう、くすぐったいとばかりに、身をよじって、声をたてて診療ベットの上でころがります。
これはもう正解です!
「くすぐったい」とは、筋肉がコッていて、筋肉の感覚に異常が引き起こされている証拠です。
「くすぐったい」は、感覚異常のひとつと考えています。
「よし!」とばかりに、左右どちらも「ふくらはぎ」に触れながら、好きなように体をよじらせます。
操体法の得意技である、「自発動」とも、「筋肉の連動操法」ともいえます。
好きなように体をよじってもらって、その動きが収まったところで、
大きく深呼吸を3回してもらいます。
「頭痛いのどう?まだ痛い?」と聞いてみます。
戸惑ったように、これまであった頭痛感を確認するように首を左右に軽くよじってみせます。
そして、「痛くない」といってくれます。
嬉しいな~!大成功です!
このように、「ふくらはぎ」の筋肉にコリができただけでも、遠く離れた頭皮、頭までその筋肉のテンションが伝わるということです。
頭痛だからといって、その原因は頭皮や頭、首、肩にあるわけではない、ということです。
結帯動作も改善します
頭痛がふくらはぎの筋肉のコリのリリースで解決したのですから、せっかくですから、上半身にもアプローチします。
上肢の動きの検査をしてみますと、「結帯動作」が渋いことが分かりました。
そこで、前腕の回外筋。
上腕の上腕二頭筋と上腕三頭筋のどちらも、前面の筋肉と後面の筋肉どちらにも筋膜リリースを施します。
もちろん、「結帯動作」は改善され、手の甲が肩甲骨と肩甲骨の間にはいるほどまで改善されました。
体操ですから、足・下半身はもちろんのこと、鉄棒では手・腕にも負担はかかっています。
もう一度深呼吸を3回。
「頭痛いのどう?」
「大丈夫!痛くない」
あとは、お母様に「ふくらはぎ」のメンテナンスと腕のメンテナンスを教え、
体操クラブの練習が終わって、帰ってきたら、「ふくらはぎ」と「前腕」、「上腕」のメンテナンスをしてあげると、大丈夫、もう頭痛に見舞われることはないはずですよ、とお伝えします。
また、寒さ対策として、足を冷やさない工夫をしてみることもアドバイスさせていただきました。
頭痛というと、その原因として事務仕事や肩こりを連想してしまいがちですが、この子のように、寒さの中での体操の練習という、寒さと筋肉の使い過ぎからくる筋肉のコリ(ファシア)が原因でも頭痛を引き起こしていた症例のレポートです。