操体法という整体について、現段階で私が理解することができたことをまとめさせていただきます。
操体法という整体の原理
操体法という整体の原理は橋本敬三先生の次の一節に凝縮されています。
「人間のからだは、もともとうまくできているのです。
それが歪むことによって不健康になっているわけですから、その歪みを治してやれば健康になるのです。
歪みを治すには苦しいほう、痛いほうに動かすのではなく、らくな気持ちのよい方向に動かせばよいのです。
これが操体法の原理であり、健康の原理です」。(万病を治せる妙療法P123)
この一節に、整体の原理が
また、操体法の原理が集約されています。
体の歪みを治すためには、「らくな気持ちのよい方向に動くこと」「動いてもらうこと」です。
盛岡せんぼくバランス治療院の整体は、この原理に忠実に踏襲して行います。
これが、すべての整体の原理ですから。
歪みを治す操体法の整体
歪みを治すための具体的な整体について橋本敬三先生は次のように記します。
「関節運動を分類すれば、
(1)前後屈伸
(2)左右屈伸
(3)左右回旋
(4)軸に対して求心力を加えた圧迫と遠心力を加えた牽引
との四種類、対称合わせて八種類となる。
歪みのある関節において、運動を分析すれば、制限された方向角度が確認できる。
歪みにおける可動可能の極限から元に戻す運動のコースが整復コースである」。(生体の歪みを正すP11)
もう少し詳しくこの整体を説明するとこうなります。
「前述の四つの運動の分析をやってみればよい。運動の歪みの方向・角度・強弱が明瞭に現れる。
そうしたら、最悪の可動の点までもってゆかせておいてから、術者は軽く抵抗を与えてやりながら、元にもどさせる。
この運動は患者にとって快適なものである。
最快適な極限に来たとき、少し抵抗力を強めて、数秒間じっと力をたわめてやる。
そして、患者をして、瞬間的に一挙に急速脱力させる。
すると歪みが正位にスポッとはまる。うまくゆけば、これ一発でOKである」。(生体の歪みを正すP13)
このような整体で橋本敬三先生は万病の治療に対応されました。
これは、基本の操体法といわれます。
自分の力で動いてもらい、そこに、その動きをたわめるように抵抗をかけてあげることで、整体していきます。
その動きの中で、歪んでいた関節が整体されていきます。
操体法の整体の三つのスタイル
操体法の実際の整体は、おおまかに(異論はあるかとおもわれますが、、、)三つのスタイルに分類できると盛岡市の整体院・盛岡せんぼくバランス治療院は考えています。
(1)基本の操体法をベースとした整体
橋本敬三先生が創案された整体で、上に記したように、瞬間脱力によって歪みを整体にもどす方法です。
基本文献
橋本敬三著 「万病を治せる妙療法」
茂貫雅嵩著 「操体法の実際」
小崎順子著 「ひとりで操体法」
(2)連動による操体法
人間の「カラダ」は部分・部分の組み合わせでできているのではなく、全体が連動して動く総合体です。
ですから、指一本うごかしても実はその動きで全身もうごいているのです。
この全身の連動をつかいながら整体していきます。
この連動の考え方を使うと、腰痛へのアプローチが、直接腰を整体することなく、例えば足首や手首からの整体が可能になってきます。
このことも、すでに橋本敬三先生は記しています。
「全運動系は中枢神経を介して連動装置になっている。
体の一部分を或る目的に向かって動かすと、全系が協力的に動く。
手足のユビを単独に動かすこともできるが、動かぬように押さえつけておいて動かせば、連接関節が次々と協調して動き、全系に拡がることは、実験すれば一目瞭然である。
一箇所に歪みができると、これをカバーするために系統的に歪みが波及する。
逆に整復に当たっては、末端局所の処理が遠隔の所にも好結果をもたらす場合がある」。(生体の歪みを正すP8)
また次のようにも書きます。
「この快適運動は患者に全身の力をできるだけ抜かせて、リラックスしてやらせる。
そうすると、連動の原則により、全身が協調して動く。
これが各所の歪みをも連動的に整復するように行動するのである。
あちこちの歪みの関節で、この誘導法をやってみれば、全身の動きはすべて同様な方向・角度に動いてゆくのを見る。
全身はいつも正位に戻りたいのだ」。(生体の歪みを正すP13)
腰を整体することで、五十肩が回復する例はしばしば、整体の現場で目にする事実です。
これも連動の一つととらえることができます。
この連動の仕組みを解き明かしたのが、橋本敬三先生の高弟、三浦寛先生です。
参考文献
三浦寛著「操体法入門・手関節からのアプローチ」
三浦寛著「操体法入門・足関節からのアプローチ」
(3)皮膚の操体
この皮膚の操体こそが、現在の最先端の操体法・整体です。
文字どおり、皮膚、お肌を整体します。
文字どおり、皮膚、お肌にはたらきかける整体です。
このうすっぺらな皮膚が筋肉・筋膜・骨をもつつみこんでいるのです。
そして、すべて、たった一枚で全身をつつみこみ、つながっているのです。
その皮膚にはたらきかけることで、筋肉・筋膜・骨を整体することが可能になります。
さらには基本の操体法も連動の操体法をもすべてをつつみこむ、なんでもありの整体へと発展していきます。
個人的に私淑している師匠・今昭宏先生の整体はまさにこの皮膚の操体法・整体です。
耳を整体して、膝の痛みをとったり、ふくらはぎのコリを前腕に働きかけることで消してみせます。
耳に操体法を施して、膝の痛みをとったり、ふくらはぎのコリを前腕を整体することで消してみせます。
皮膚は全身をつつみこんでいます。皮膚にはたらきかけることで、全身の歪みへの整体がさらに可能になります。スバラシイ!
参考文献
三浦寛著「操体臨床の道しるべ」
今昭宏著「楽しくわかる操体法」