ムズムズする肩こり

「虫がムズムズ動く感じ」の違和感

なんとも不思議な症状を訴える肩こりの方がいるものです。

肩まわり、首まわりが痛いとか、ハルとかではなく、ムズムズして苦しいというのです。

後頭部の付け根から首筋にかけて、そのようなムズムズして苦しい症状がでて消えない、常にムズムズしていると訴えます。

最近はその症状がひろがって、頭の中までムズムズしているのだそうです。

この方の説明によるとこうです。

「脳にはシワがあるじゃないですか。

そのシワに虫がびっしりつまっていて、ムズムズ動く感じ」といいます。

なんとも、不思議な違和感です。

ここ3か月ほど、この症状に悩まされていて、整形外科に行き、さらには脳神経外科も受診したそうです。

MRIで脳の画像検査も受けたのですが、いずれの病院でも、脳にも頸椎にも異常はないという診断です。

「しいていえば、頸椎がちょっと狭くなっていて、ヘルニアぽいから、そのせいかな」といわれたそうです。

このような症例、肩こりは整体したことがないことを私はまず正直に伝えます。

むずむず脚症候群との関連は?

確かに「むずむず脚症候群」という言葉は聞いたことがあります。

「むずむず肩こり・首こり症候群」ということになるのでしょうか?

わかりません。

お話をきくと、7年ほど前から、似たように、両肘が「むずむずして苦しい」のだそうです。

肘のむずむずして苦しい感じと、首筋のむずむず感は似ているのだそうです。

まずは、全身を整体してみることにします。

肘に触れると、明らかに、肘および前腕がカチカチに固くなっています。

その肘の固さを整体しますと、「むずむずする感じの範囲が狭くなったような気がする」といってもらえます。

頭にふれると、熱感、ほてりを感じます。

脳の中のむずむず感の解消を狙って、アイシング操法を行います。

「気持ちいい」といってもらえ、結構長い時間、そう10分ほども氷で頭と首筋を冷やし続けます。

頸椎に沿った首筋、頸板状筋・頭半棘筋をふれると、これまたカチカチに固くなっています。

ここも直接、頸板状筋・頭半棘筋を筋膜リリースしていきます。

すると、ありがたいことに、首筋のむずむずする感じの範囲が狭くなった気がする、といってもらえます。

むずむず感にについてのひとつの仮説

こんなことを考えてみます。

感覚神経のセンサー、受容体がコリにふれると、痛みの受容体がそのコリを感知するのではなく、むずむず感を出す受容体が作動してしまうのではなかろうか?ということです。

コリを痛みやハリとして感知するのではなく、むずむず感として感知してしまうのではなかろうか?ということです。

コリを痛みとして感知するか、むずむず感として感知するかは、個人の体の資質によるもので個人差があるにちがいない。

この方の体は、コリをむずむず感として脳に教えているに違いない、ということです。

そんな気がします。

触れることが出来たコリを解消していくことで、このむずむず感が消失するものか、整体を進めていこうと考えております。

首筋の奥が「むずむず」する感じ

この方の整体を進めていくうちに、その原因らしきものが明らかになってきました。

この方、右の後ろの首筋の奥のほうに、なにか「むずむず」する感じがあって苦しいと訴えます。

首筋から背中、また頭部までも整体していくのですが、なかなかピンポイントで効果のでるポイントが見つかりません。

「以前より、むずむずする感じの範囲は狭くなっているような気がします」といってもらえますが、、、。

整体しながら、問診のように、いろいろ尋ねていきます。

すると、どうやら、歯医者に通いはじめてから、このむずむず感が発症してきたことがわかりました。

右の上の歯の治療を受けているのだそうです。

右の上の歯を6本もブリッジにする治療を受けたのだそうです。

それからしばらくして、1か月ほどしたら、このむずむず感がではじめたような気がするというのです。

いまでも、ブリッジにしたところが、「重い感じ」、「下に下がってくる感じ」があるのだそうです。

ブリッジにした部分を支えるために、何か歯茎周辺に負荷がかかっている可能性があります。

この方に歯医者にいった時、「ブリッジにしてから肩こりが出始めたような気がするのですが」と尋ねてみてはいかがですか?と提案してみました。

そのように、歯医者に尋ねたところ、やはり前例があったのでしょう、頬から顔面にかけて、電気治療をしてくれたのだそうです。

まだ、それでも、首筋のむずむず感は解消されてはいませんが、、、。

この方の場合、体がコリを感知すると、むずむず感として、脳に情報を送るらしいことがわかってきました。

ですから、歯をブリッジ治療することで、歯茎から頬、首筋まで負荷がかかり、首筋にコリができてしまい、むずむず感が出現していると考えることができそうです。

歯茎から頬にかけて整体する

されば、今回の整体では、歯茎から頬にかけて整体していきます。

「なんか気持ちいい~」といっていただけます。

瞬時に首筋のむずむず感が消えることはありませんでしたが、継続して整体していく価値はありそうです。

歯の治療と肩こりの関係もこれは確かにありそうです。

となれば、整体ばかりではなく、歯の治療とも連携しながら、この首筋のむずむず感に対応していかなくてはいけないということです。

歯茎の整体に取り組む

この方の整体を続けてきて、わかってきたことは、むずむずする肩こりの原因は、首回りのコリや肩こりが原因ではなく、歯の治療によるものらしいということです。

歯の治療が原因なのかどうか、検査してみることにしました。

筋肉反射テストを使ってみます。

筋肉反射テスト

筋肉反射テストとは、筋肉の反射反応を用いて、その反射反応から正常・異常を判断していく検査です。

使う筋肉はさまざまで、また、いろいろ応用できます。

指で輪をつくって、その反応を調べることもできます。

この方に、はじめ指の輪で試みましたが、力の入れ具合が、なかなかわかりにくかったようで、上手くいきません。

そこで、三角筋をつかつた検査に切り替えます。

こちらは、うまくいきました。

きょうは、首筋に「むずむず感」がかなり強くでているということで、私が、首筋に手を触れようとすると、触れる前から拒否反応がおきるほどです。

そこで、テスとして自分の左手で首筋のむずむずするところに触れてもらい、右腕で筋肉反射テストをしてみます。

すると、やはり、右腕は支えることができずに、下にさがります。

この現象について説明します。

「根拠やメカニズムは良くわからないけれども、悪い所、嫌なものに触れると、それを避けるように、力が入らなくなるようですよ」と伝えます。

「この現象をつかえば、悪い所を探していけるわけです」。

筋肉反射テストを歯でやってみます

この方、右の上の歯を6本ブリッジにする治療をうけています。

右の上の歯を奥歯のほうから指で頬のうえから触れてもらい、筋肉反射テストを行っていきます。

すると、一番前の歯、前から二番目の歯で、腕は力なく下がってしまいます。

「どうやら、前から2番目の歯が原因のようですよ」と伝えます。

「体がそう教えてくれてます」。

この方もビックリです。

力が入らなくなる現象に驚かれます。

「歩いたりしても、前から2番目の歯にその振動が響く感じがあったんです。それにこの2番目の歯を軸にしてブリッジをつくって支えているようです」といいます。

どうやら、ブリッジにして一番負担がかかっているのが、この前から2番目の歯のようです。

「この歯が下に下がってくるような感覚もあるんです」。

ブリッジにするときに、「歯の裏側には金属がはいっているので、ちょっと重い感じがでるかもしれないけど、すぐに慣れるから」という歯医者での説明をうけていたそうです。

どうやら、この重さが歯茎に負担をかけているようです。

ブリッジによる歯茎の負担が、どうして首筋のむずむず感とつながるかはわかりませんが、

歯茎のこりが首筋に筋緊張を生じさせているようです。

歯茎を整体します

それでは、歯茎を整体することで、首筋のむずむず感が減少するかどうか整体してみます。

この6本のブリッジの部分、特に前から2番目の歯茎を狙って、頬の上から「刺さない鍼」・「てい鍼」をつかって整体していきます。

歯茎の整体のあと、ふたたび、左手で前から2番目の歯茎を触れてもらい筋肉反射テストで確認してみます。

すると、最初より明らかに、力が入る様になり、腕を支えることができるようになってきました。

むずむずする首筋に手を触れてみます。

触れることができます。

最初は手を触れられることさえ拒否反応があったのに、収まっています。

本人も「むずむず感が減ったようなきがする」といいます。

どうやら、この首筋のむずむず感、原因は「歯」にあるようです。

歯の治療はもちろん歯医者でなければできませんが、対症療法的に歯茎を整体していくことはできそうです。

歯茎を遠隔で整体する

筋肉反射テストをつかうことで、このムズムズする肩こりの原因がどうやら、歯の治療によるものらしいことがわかってきました。

ただこれも、筋肉反射テストを根拠としている検査法ですから、この筋肉反射テストを非科学的だとして、否定するのであれば、それはそれで仕方がありません。

筋肉反射テストによると、どうやら、上の前から二番目の歯のブリッジが原因だ、という結果が出ます。

そのことがわかれば、やるべきことは、

前から二番目の歯を正しいポジションに収めてあげること、そして、そのポジションで安定させてあげることになります。

けれども、これとて、所詮、対症療法であり、根本的に治すには、歯の治療のやり直しということになるのだと思われます。

それまでの「つなぎ」として、そんな対症療法をしていきます。

歯の遠隔整体を試みる

この方、女性ですから、歯の整体をこころみるにも、これまでも、上唇の上から、歯茎を整体してきました。

やはり、直接「歯」に触れるのには抵抗があります。

何かいい手はないか、と考えていたら、「ああ、そうだ、遠隔で歯に触れればいいんだ」とおもいつきました。

上手くいったかどうかの、判断も、やはり筋肉反射テストで判断します。

はじめに、前から二番目の歯に触れてもらい筋肉反射テストを行います。

力が入らず、支持することができません。

遠隔で整体します。

思いついたのは、この方の傍らにガイコツ君を置き、そのガイコツ君の歯を整体して、結果をだせるかどうか、ということです。
上の前から2番目の歯
ここの歯を押し込んでいきます。

ガイコツ君ですから、力も強めに押し込んでいきます。

この方自身には、指一本触れていません。

筋肉反射テストを行います。

やはり、明らかに、力がはいってきました。

成功です。

この遠隔によるガイコツ君の歯茎の整体を2セッション行います。

また筋肉反射テストを行います。

ますます、力が入ってきました。

半身症候鍼灸法もつかう

この状態を維持するために、茂木昭先生の半身症候鍼灸法もつかいます。

右の「天柱」に一点、鍼を打ちます。

ますます、筋肉反射テストの力が入ってきます。

さらに、直接、唇の上から歯茎を整体します。

軽くただ触れていくだけです。

すると、

「あ、抜けた!」といいます。

右の後ろの首筋のむずむず感がスッと抜けたそうです。

この状態を維持するために、またまた茂木昭先生の半身症候鍼灸法です。

このセッション。

遠隔整体ー直接の歯茎の整体ー茂木昭先生の半身症候鍼灸法

このセッションを二回繰り返しました。

むずむず感を解消する整体の方法

このむずむず感の抜けた状態を維持できているようです。

この状態をいつまで維持できるのか?というのはわかりませんが、

むずむず感を解消する整体の方法は確立できたと思われます。

遠隔整体も試みさせていただき、こちらこそ、大変お勉強になる整体となりました。

筋肉反射テストでは歯が原因だとでます

むずむずする肩こりの整体に取り組んできましたが、やっと、その原因にたどりつくことができたようです。

また、この患者様から喜びの声の手記も寄せてもらうことができました。
「むずむずする肩こりのお客様からの喜びの声です」

筋肉反射テストをつかった検査では、確かに、前から二番目の歯が原因だと反応がでます。

けれども、この筋肉反射テストをどのように評価するかという点については、しょせん民間療法の域をでるものではありません。

もっと、客観的な、納得できるような根拠が欲しかったわけです。

セカンドオピニオンのすすめ

この方には、歯医者を変えてみるのも、ひとつの手だと思いますよ、とアドバイスしておりました。

そうはいっても、判断して決めるのは本人ですから。

私はたまたま、歯医者は岩手医科大学の歯医者に通っているわけです。

現在も奥歯の詰め物が壊れてしまったので、その治療に通っています。

奥歯の詰め物くらいの、大学病院でなくてもできる治療をわざわざ大学病院に通っていたわけです。

ですから、この方に、岩手医科大学の対応は大変良いので、セカンドオピニオンとしていってみるのもいいと思いますよ、とすすめておりました。

この方、いよいよ、意を決して、岩手医科大学の歯医者に行かれたそうです。

そして、これまでの経緯、歯のブリッジ装着をしてから体調不良に見舞われたことの時期的な一致を説明し、また、ブリッジの部位、前から二番目の歯の違和感、振動感を訴えたそうです。

歯茎の不具合がレントゲンに映る

問診のあと、レントゲンをとってもらったところ、

なんと、前から二番目の歯の歯茎が下がっているような、浮き出ているような影が映っていたそうです。

それを見て歯科医もブリッジが原因の歯茎の損傷を認めたそうです。

画像として映し出されたということは、客観的な根拠といえます。

筋肉反射テストという民間療法の検査の結果を裏付けることができました。

このことは、なんとも嬉しいことでした。

こうなると、歯科医も画像を確認しながら、歯茎の治療にあたつてくれるに違いありません。

そして、歯茎が修復されると、この方の首筋のむずむずする肩こりは消失するのではなかろうか、と考えております。

それまでの間、私は、つなぎで対症療法に努めていきたいと考えております。