四十肩・五十肩の結帯動作の探究を続けます。
結帯動作の探究(9)「結帯動作の探究(9)」でレポートした、この方、肩関節の屈曲・伸展ばかりか、肩関節の内転・外転でも可動域制限があることがわかりました。
結帯動作の整体を進める際、
まず初めは、手関節の撓屈の改善を狙った整体を行い、
次に、肘関節の屈曲を改善する整体を行います。
それでも、まだ、結帯動作の可動域制限がある場合は、肩関節の整体に取り組みます。
結帯動作の探究(9)でレポートしたように、この方、肩関節の伸展で可動域制限がありました。
さらに、内転、肩関節、上腕を後ろに回し、体幹の中心にむけて、背骨に向けて、腕を内に動かしますと、
可動域制限と肩への痛みが出現します。
上腕の内転で痛みが出ますから、素直に、外転する筋肉である「棘上筋」を整体します。
改善はされますが、まだ、可動域制限と痛みが生じます。
肩甲骨の内側縁というと、菱形筋を想像しますが、
狙っているのは、「前鋸筋」です。
前鋸筋は第1肋骨~第8肋骨からはじまり、「肩甲骨の上角、内側縁および下角」に停止します。
つまり、肩甲骨の内側縁の上から下まで全部に付着しています。
この前鋸筋、肩甲骨を上方回旋する作用があります。
肩関節・上腕を外転していく際に、肩甲骨を動かして、肩関節・上腕の外転を手助けするわけです。
この動作、肩甲骨の上方回旋は、結帯動作の逆の動きでもあるわけです。
結帯動作をする場合、肩甲骨が下方回旋しなくては、上腕が後ろにまわらないわけです。
ですから、この動作を制限する筋肉として「前鋸筋」を想定して整体します。
すると、予想通り、結帯動作を行っても、肩の痛みは出現しなくなりました。
やはり、この結帯動作、この結帯動作にかかわるすべての要素が改善されないことには、うまくいかないことを改めて実感することが出来ました。