痛むのは「腰方形筋」です
ぎっくり腰の原因についての考察を続けます。
ぎっくり腰に見舞われて痛みがでるのは、圧倒的に、ここが多いものです。
解剖学的にいうと、「腰方形筋」です。
そして、ものの本には、ぎっくり腰の原因の筋肉として、この腰方形筋が紹介されています。
確かに、痛みが出ているのは、この腰方形筋上ですが、
だからといって、この腰方形筋が原因でぎっくり腰になるとは限りません。
この腰方形筋の痛みは結果でしかないのかもしれません。
ぎっくり腰の臨床を繰り返していきますと、どうやら、腰方形筋の痛みは、結果でしかないことがわかってきました。
腰方形筋の分析
腰方形筋の筋肉の連結をみてみます。
参考とするのは、この本です。
この本の優れている点は、筋肉と筋肉とのつながり、連結がしめされていることです。
私は、アナトミートレインよりも、この本の筋肉のつながり方を参考にして日々考察しています。
この本によると、
腰方形筋は
大腰筋、横隔膜、最長筋、腸肋筋と筋連結があると書かれています。
これは大変興味深いことを示しています。
大腰筋は背骨を中心線とすると、その前面に位置する筋肉です。
そして、最長筋と腸肋筋は背骨の後面に位置する筋肉です。
つまり、腰方形筋は、背骨をはさんで、前面の筋肉(大腰筋)と後面の筋肉(最長筋と腸肋筋)の影響を受けるということを意味しています。
ですから、ぎっくり腰になると、前かがみしても、後ろに反っても腰に痛みが走ることがわかります。
筋肉の連結をたどっていきます
ぎっくり腰の原因を探っていくために、
背骨の前面の筋肉、腰方形筋から大腰筋に続く筋肉の連結をたどってみます。
腰方形筋ー大腰筋ー腸骨筋ー内側広筋ー大内転筋ー腓腹筋(内側)と続き、ふくらはぎの内側の筋肉群そして、ふくらはぎの中心・下腿骨間膜へと接続していきます。
それでは、背骨の後面の肌肉を腰方形筋から最長筋へとたどってみます。
腰方形筋ー最長筋(この流れは、臀部および下肢とは筋肉の連結はしていませんが、その停止が腰椎の棘突起および仙骨の正中仙骨稜となっていますので、臀筋群との連結は可能であると私は考えます)ー大殿筋ー外側広筋ー大腿二頭筋ー腓腹筋(外側)と続き、ふくらはぎの外側の筋肉群、さらには、ふくらはぎの中心・下腿骨間膜へと接続していきます。
ですから、ふくらはぎの内側・外側の筋肉にトリガー・コリ・ハリが出現しますと、一気に腰方形筋にまで、痛みが生じることになるわけです。
ぎっくり腰の原因
このように考察してきますと、
ぎっくり腰の原因はどうやら、ふくらはぎの筋肉群であるといえそうです。
ぎっくり腰で身動きできなかった方が、ふくらはぎを整体するだけで、動くのが楽になったり、
ぎっくり腰で前かがみができなかったのが、ふくらはぎの整体でできたり、
ぎっくり腰で後ろに反ることができなかったのが、ふくらはぎの整体でできるようになったりします。
このような、臨床の経験を踏まえて、ぎっくり腰の方には、ふくらはぎの筋肉群を丁寧に触診、さぐっていきます。
きっと、ふくらはぎを整体してあげることで、ぎっくり腰からの回復は早まるものと確信しております。