ドケルバン病の探究
ここにきて最近、腱鞘炎、ドケルバン病とばね指の患者さんが続いております。
おかげで、腱鞘炎、ばね指・ドケルバン病の理解と探求が深まっております。
ここでは、ドケルバン病の痛みがでる部位である、橈骨茎状突起(けいじょうとっき)についてです。
この親指の付け根からたどって、もう少々頭のほうにさかのぼったところにある、いわゆる手首のでっぱった部分を橈骨茎状突起といいます。
ドケルバン病と診断された方は、指・手を動かしても、またここを軽く触れても痛みが出ます。
この橈骨茎状突起に終わる筋肉が腕橈骨筋なわけです。
腕橈骨筋について
腕橈骨筋は上腕骨の外側縁の肘関節から三分の一ほどのところからはじまり、
橈骨茎状突起まで続きます。
前腕の親指側を支配するそれは大きい筋肉です。
肘から下の部分では厚く膨らんでいるのでわかりやすく、触れやすい筋肉です。
けれどもこの大きくてわかりやすい筋肉がどんな悪さをしでかすのかというと、あまり注目されていないように思われます。
そう、この腕橈骨筋は腱鞘炎のドケルバン病をひきおこす原因のひとつの筋肉といえます。
こういうことです。
この腕橈骨筋が凝ってしまって拘縮、縮んでしまうと、その停止部である橈骨茎状突起にテンションがかかります。
テンションがかかり、橈骨茎状突起の骨膜を引っ張ります。
すると、そこに痛みが生じることになります。
腕橈骨筋は肘を曲げる、屈曲する筋肉です。
肘を曲げる筋肉というと、力こぶの筋肉である上腕二頭筋に注目しがちですが、この腕橈骨筋も肘関節を屈曲する際に作動します。
ですから、肘を曲げる動作、物を持ち上げる動作が続くと、上腕二頭筋と腕橈骨筋にコリが出現し、場合によっては腱鞘炎のドケルバン病を発症してしまうという事態になると推測できます。
腕橈骨筋の整体
腕橈骨筋を整体する場合、ドケルバン病を発症していますと、その停止部である橈骨茎状突起は痛みがあるため、触れることができません。
ですから、起始部を整体することになります。
この腕橈骨筋の起始部を上腕骨から剥がすように整体します。
またストレッチ操体法も有効です。
腕橈骨筋の起始部に触れながら、前腕を伸ばしたり、縮めたりすることでストレッチがかかります。
あた、予想以上に良く効いたのが、腕橈骨筋の前腕に沿って走行している筋腹の整体です。
腕橈骨筋が骨・骨膜に付着しているのは、その起始部である上腕骨であり、停止部である橈骨茎状突起なわけですが、
骨に付着しているのはこの二点だけということになっているのですが、どうやら、この二点の間の筋腹が前腕の橈骨に癒着してしまうようです。
ここを整体していきますと、フィンケルスタイン・テスト(Finkelstein)の動きが改善されます。
ここも、橈骨を触れながら、ストレッチ操体で整体します。
起始・停止の部分が骨膜・骨に付着しているのは、「あたりまえ」で正常なわけです。
この癒着がこの正常なポイント以外に広がったとき、痛みや可動域制限を出現させるわけです。